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口ではそう言いつつも全くもって悪びれた様子じゃないエドを見て、ウィンリィは信じられないと言った表情でコーヒーを飲むエドに詰め寄る。
「ぶっ壊れたってあんたちょっと!!あたしが丹精こめて作った最高級機械鎧をどんな使い方したら壊れるって言うのよ!!」
「いやそれがもう粉々のバラバラに」
「バ……」
機械鎧に魅せられているウィンリィからしたら大変ショックな事をエドは言った様で、ウィンリィは一瞬よろよろとふらつくと近くにあったスパナでもう一度エドの頭をぶった。
すると次は私とアルの番のようで、眉間に皺を寄せながらウィンリィが話しかけてくる。
「で、なに?アルも壊れちゃってるわけ?Aに至っては何よその腕と頭の痛々しい包帯!あんたらいったいどんな生活してんのよ」
『面目ない…』
「いやぁ…」
私とアルは言葉を濁しながらウィンリィへ苦笑いを返した。
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「____で、その賢者の石の資料とやらを手に入れるために一日も早く中央に行きたいって言うのかい?」
「そう大至急やってほしいんだ」
エドの機械鎧を診察しながらピナコばっちゃんとエドは相談をしている。
足を診ているピナコばっちゃんの後ろからウィンリィが覗いていると、いたずらっぽい笑みを浮かべながら「あら、一応身長は伸びてんのね」とエドを煽った。
「足の方はこれがあるから調整が効くとして、腕は一から作り直さなきゃならんから…」
機械鎧の義足をタバコでカンカンと叩きながら言うピナコばっちゃんに、エドは困った様子で眉を顰める。
「一週間くらいかかるかな?」
心配そうに問いかけるエドに、ピナコばっちゃんはタバコを吸いながらニヤリと笑みを返した。
「なめんじゃないよ____3日だ」
ガシャッと義足を外す音と共に、ピナコばっちゃんはエドにスペアの義足を装着した。
エドは試しに歩いてみようとしたのかソファーから立ち上がっていたが、やはり使い慣れていない足は歩きにくいそうでよろめいている。
「削り出しから組み立て、微調整、接続、仕上げと…うわ、カンペキ徹夜だわ」
「悪いな無理言って」
「一日でも早く中央に行きたいんでしょ?だったら無理してやろうじゃないのさ」
遠目でエドとウィンリィのやり取りを見ながら微笑ましく思っていると、唐突にウィンリィは悪ふざけでエドをどつき吹っ飛ばしていた。やっぱりウィンリィはウィンリィだなと思った瞬間だった。
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時