黒と桃の備忘録 (ページ2)

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なんて、

何バカなこと考えてるんだ俺は

「北斗～」

さっきまでジェシーとふざけあっていた慎太郎が急に北斗に喋りかける

「なに」

「きょもがさ～北斗に構って欲しいって～」

そう言いながらニッコニコの顔で俺を見る慎太郎

なんてことを言ってくれるんだ慎太郎

てかそんなに北斗のこと見てたの俺

「別にみてないし」

驚くほど激しく動いている心臓を無視して
ちょっとスカして言ってみる

「またまた～ずっと構って欲しそうに見てたじゃん～」

「ほんとに見てないから」

こんなの
馬が合わない俺に言われたって気持ち悪いだけだ

俺はまだ
北斗に嫌われる準備出来てない

「なんだ～ずっと見てたから北斗に構って欲しいのかと思った。ね！北斗！」

「……そんなに見なくてもいつでも構ってあげるのに……………………京本なら」

…

ん？

今なんて言った…？

隣できょもほくだ～！！！とか騒いでる奴の声がするけどそんなの気にしてる場合ではない

俺に構ってくれるって言ったよね？しかも俺ならいいって…

俺って馬が合わないんじゃないの？

話しかけてもいいの？

「ほら！北斗がこう言ってるんだからきょも素直になれって～」

いつもだったら慎太郎の茶化しには絶対に従わないが
さっきの北斗の言葉を信用して、
立ち上がって北斗の前まで歩いてみる

意を決して

「……構ってほしいです…」

と告げるとフー！と歓声が上がる楽屋

ここはクラブか

肝心の目の前の男は眉ひとつ動かさないけど

やっぱり気持ち悪かったかな

さっきのは間接的だったから良かったとか…

またまたネガティブモードに突入し、俯いてると

急に頭に温かい感触が伝わってくる

え？

これは北斗の手？え？

なんで急に…

思わず思いっきり頭を上げると

「…ん」

そこには今まで見たことないほど赤い耳

恥ずかしそうな嬉しそうななんとも言えない表情

その瞬間心がぞわぞわって

きゅんきゅんって

俺の心から鳴ったことがない音がした

もしかして俺は

絶対に踏み入れてはいけない領域に

足を踏み入れてしまったのかもしれない

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