黒と桃の備忘録 (ページ1)

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近づきたいページ1

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kym side

キッカケは、ない。

気づいたら俺とアイツの間に距離が出来てただけなんだ

俺と北斗はどことなく、何かが似てた

性格じゃない、心の芯とでもいうのかな

その1番大事なところが似てた

何か自分の個性を出したいと思っても北斗とどうしても被ってしまう

俺が1番目立ちたいのに注目されたいのに似てる北斗とセットにされる

それが、思春期真っ只中の俺達には受け入れ難かったんだと思う

俺はお前よりすごいんだって先輩としてのプライドもあった

今思えば悔しかったんだとも、思う

歴だって歳だって後輩なのに、俺よりもどんどん大人っぽく、カッコよくなっていきやがって

昔はあんなに仲が良かったのに

プライベートでは一切絡まない

仕事でも必要最低限のことしか話さなくなった

その関係が続いていく中、

いつしか"寂しい"と思っていることに気づいたときにはもう遅くて、

「馬が合わない」

彼の中で俺はそんな存在になっていた

俺はもっと話したいのに

昔みたいに仲良くしたいのに

でも、できない

意を決して話しかけようとしても北斗の顔を見ると緊張して声が出ない

おれは北斗にとって「馬が合わない」奴だから、俺となんか話したくないんじゃないかって

俺のネガティブな性格が顔を出す

「きょも～」

隣に座っていたピンク髪の男が急にもたれかかってきた

「なに」

「眠い膝枕して」

「やだよ高地にしてもらってよ」

え～きょも冷たい～とごねる樹を無視して台本を読む

樹だったらこんなに自然に話せるのに

どうして北斗だとうまくいかないんだろう

今日もアイツは楽屋の端の椅子に座って本を読んでいる

そんなに本が好きか

その時間、ちょっとぐらい俺にちょうだいよ

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