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十三話:変わるのは自分 ページ19

Aは話の流れを掴んだ。

厳しい母親の元、分刻みでリドルは学んでいた。

生活も、全て管理されていた。

しかし、一日のたった一時間の自習時間(自由時間)、リドルはとある友達と遊ぶようになる。

それが、トレイと、Aの知らない猫のチェーニャだった。

そしてある日。

リドルはトレイの家で、苺のタルトを食べる。

夢中になり、時間を忘れ、気がつけば一時間を過ぎていた。

そして、母親に叱られる。

今度は自由時間はなくなり、楽しい時間は消えた。





リドル「ルールを破れば、楽しい時間まで、取り上げられてしまう。」

ふと、今のリドルに戻った。

Aは目の前のリドルを観察する。

強気で、必死そうな表情だった。

リドル「だからお母様の決めたルールは、絶対に守らなきゃ。」

リドル「この街で一番優秀なお母様は、いつでも正しいはずだから。」

リドル「でも、ねぇ......ママ。」

表情が変わった。自信なさげな、不安げな表情。

音が変わり、リドルは悲しんでいた。

Aは、動かない足を無理やり動かし、一歩、リドルに近づいた。

リドル「なんでだろう?」

リドル「なぜだか胸が、とっても苦しいんだ。」

リドル「お誕生日だけでいいから、いっぱいタルトが食べたい。」

リドル「お外でいっぱい遊びたい。」

まるで、幼子のように泣き始めたリドルに、Aはまた近づく。

いま突き放せば、消えてしまう気がして。

固まったからだが、少しほぐれた。

リドル「もっといっぱい、お友達が欲しいよ。」

その瞬間、鉄のように固まった体を無理やり動かし、Aはリドルに近づく。

『リドル寮長!』

リドル「っ、う、ずい?」

泣きじゃくるリドルに、Aは向き合う。

『自分で考えろ。』

リドル「でも、規則は.....」

『なんのために頭がある。考えるためだ。

自分で考えられないやつは、直ぐに死ぬ。

変われるのは、自分以外居ないぞ。』

兄に言われた言葉を、リドルに言う。

リドル「ボク、は...」

『規則は確かに大切だ。しかし、それは人を傷つけるためのものでも、縛り付けるためのものでも無い。

リドル寮長、貴殿は縛られなくて良いのだ。』

リドル「っ....」

『どんな規則に従おうとも、貴殿の胸の苦しさは消えない。己の、自由を求める気持ちだからだ。

残念なことに、私はその感情を失った。だから、貴殿には失わないで欲しいのだ。』

そういったAを、リドルはじっと見つめた。

十四話:仲直り→←十二話:リドルの過去



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- 八話でユウリに向かって貴殿と言っているんですが、ユウリは女性なので貴殿ではなく貴女では? (7月17日 14時) (レス) @page13 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら)(プロフ) - 二十話で”クローバー先輩”と言っていましたが夢主ちゃんって3年生じゃなかったですか…? (2020年10月26日 20時) (レス) id: ede154cf4d (このIDを非表示/違反報告)
ピカチュウ(プロフ) - あの、1つ訂正していただきたい箇所があって、もしご存知でしたら、申し訳ないのですが、ナイトイレブンカレッジではなく、ナイトレイブンカレッジです。上からですいません。とっても面白かったので、続き楽しみにしています。 (2020年10月22日 7時) (レス) id: 194fa15314 (このIDを非表示/違反報告)
へまとふぃりぃあ - 派手なコソコソ話という矛盾 (2020年10月17日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
哭狼 - 拝みました、面白すぎて大好きです! (2020年10月16日 2時) (レス) id: adf4aefcff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花陽 | 作成日時:2020年10月6日 22時

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