花屋の店主は実は公安警察 5

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タバコの匂いが染み付いた車の後部座席で支えられながら救急車を待つ。

松田｢……お前かが捕まったと聞くまでは、あの主犯格はもしかしてAじゃねえかって疑っていたんだ｣

鋭過ぎる推理、大当たりです。
松田さんは怪我した所が当たらないよう、寒くならないよう配慮しながら言う。

松田｢俺のこと良く知ってるような言葉の返しだった｣

｢…Aの潜入している組織じゃないよな？｣

うん、と頷くことしか出来ない。何も返せない。
俺じゃなくてもいつかは話して欲しいと言われてまた頷く。

A｢松田さん？｣

私の髪に顔を埋め、いつの間にか繋いでいた手をさらにぎゅっと力を込めた。

松田｢ちゃんとした男になってからって決めてたけど｣

次第に心音が大きくなる。








松田｢お前が好きだ、A｣

｢ずっと前からそういう目で見てる｣







いつから？と聞く私にクククと鈍感すぎだと笑い、22歳の時からだよ…もう30手前だがなと彼は言った。
高木さんが言っていたのは本当だったんだ。

松田｢痛むよな、喋りすぎた｣

返事はいつでもいいと私の頬を撫でた。
救急車の到着まで松田さんと私は眠りについた。

目が覚めたら病室のベッドの上で点滴の袋がぶら下がっているのが見えた。

A｢……｣

昨晩の出来事をゆっくり振り返る。
トロピカルランドで仕事をして、嘘を真実に見せるために自身に銃を向け、松田さんに告白された。

A｢松田さんは？｣

救急車に一緒に乗ったはずの松田さんが見当たらない。彼もケガをしていたはず。

降谷｢松田は仕事だよ｣

代わりにいたのは降谷さんで、よく見るとここは米花中央病院ではなく公安指定の病院のようだった。

A｢後始末ありがとうございました｣

降谷｢随分と無茶をしたな｣

椅子に腰掛けながら怒り気味に言われる。
あの後組織へ説明するのが大変だったらしい。

降谷｢君の任務遂行への考え方はとても素晴らしいし、国を守る人間として嬉しい限りだが｣

｢賭けに負けた時の代償があまりにも大き過ぎやしないか？松田にバレていたらどうするつもりだった？｣

すみません…。

A｢やり取りをしている中で実はバレていました｣

｢構成員に変装させなければ、どうなっていたのかは解りません｣

本当に恐ろしい賭けをしていた。

A｢いつかは本当の事を話すつもりです｣

降谷｢任せるよ…ただ次はもっと頼ってくれないか？｣

わしゃわしゃと髪を撫でられた。

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