花屋の店主は実は公安警察 5

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松田side

Aが突然目の前に現れた。
仕事中に怪我をした高木の見舞いに来たら、同じ階に入院している事になっていた。

松田｢何しに来た？｣

萩原｢病院では静かにだよ！｣

萩ともギスギスしていた俺は偶然居合わせただけで喧嘩をふっかけていた。
それを制止するためだろうが、誰よりもデカい声でAが叫んだ。
その姿を見て気が付いたら近付いていた。

バカヤロウ、心配させやがって。
こんな一言を言うつもりだったのに、女々しい言葉が出てきた。

松田｢俺もうこんなの耐えられねぇよ｣

かっこ悪いなァ俺。
そのまま俺はAの病室に居ることにして、萩に高木の見舞いを俺の分もしてもらった。
こんな顔を後輩に見せたくなかったのもある。

A｢松田さん｣

松田｢…なんだ？｣

A｢ふふっ、なんでもないです｣

久しぶりに見るからだろうが…Aは懐かしいという眼差しで見てくる。
その目は年下の目じゃない。
なんと例えればいいか、見透かしてる感じ。

萩原｢戻ったぞー｣

萩原が高木の見舞いを終えて、院内のコンビニで買ってきたコーヒーやお菓子を抱えて現れた。
お湯が沸いたケトルでコーヒーを作り、サイドテーブルに置く萩の髪を触れる彼女。

A｢久しぶりで…｣

不思議だ。

萩原｢いいよ、誰から話す？｣

松田｢俺から話す｣

消えてからの1ヶ月を話した。
自分でも大人気ない、行動の数々で話していて少々恥ずかしかった。
でも許して欲しい、Aが居なくなったんだ。
とくに俺と諸伏は冷静ではなかった。

乱闘騒ぎは零が関わっていたおかげで闇に隠され、俺たちは厳重注意で済んだ。

松田｢そこから連絡はとってねぇ｣

萩原｢俺も、気まずくて難しい｣

｢完全に疎遠になってないのは班長がいてくれるおかげ｣

話せること全部話したら今度はAの番。
彼女は両手でコーヒーカップをぎゅっと持ち話し始めた。
それは今までで1番現実離れした内容だった。

A｢全ては…話せないです、私の整理も追い付いてなくて｣

｢間違いないことは、松田さんも萩原さんも変わらずいい人でした｣

その未来で出会った俺たちと重ねているのかAはボロボロ涙を落としていた。
無理しなくていいと萩が肩を叩く。

萩原｢戻ってきてくれて良かったよ、俺たちの人生はこれで変わったから｣

松田｢萩は認知症だしな｣

萩原｢陣平ちゃんだってこの間、甘いタバコ買ってたじゃん！｣

そのやり取りを見てAは微笑んでいた？

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