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A「みんなの居場所は分かりますか?」
話を聞くうちに現実だと思い知らされる。
私が60年後に来てしまったこと以外は本当のように聞こえる。
萩原「陣平ちゃんの場所はわかるが、あとはわからない」
「零は亡くなったよ」
降谷さんは長いこと組織に潜入し、行方不明から20年後に殉職していた。
降谷さんの葬儀で顔を合わせたのが最後だった。
萩原「…ああ、一つだけあてがあるとするならば」
思い出したようにプルプル震えた手で文字を書きはじめると私に押し付けた。
萩原「高木はまだ元気なはずだ、彼は京都の田舎に住んでいる…彼の頼みなら警察は情報を開示してくれるはずだ」
高木さんは人柄をかわれて異例の警視総監まで上り詰めたという。
お礼を言って廊下に出ると萩原さんに止められた。
萩原「…イルカ、お守りイルカだ。あれをアイツらに会ったら見せろ、夢のような事もきっと信じて貰えるはずだ」
A「ありがとうございます」
老人ホームを出て公園のベンチに腰掛ける。
あの日、伊達さんを助けたのは正解だと思っていた。
なのに私の行動で彼らの間に亀裂が出来てしまった。
元の場所に戻れる保証もない。
今の時代は公園のベンチで端末の充電が出来るらしい。
A「独りぼっちだなぁ」
萩原さんに会えたけど、私の知ってる萩原さんではない。
高木さんに会いに行っても知らない高木さんだ。
千陽姉妹は何故か居たけれど全く違う姉妹だった。
A「組織に居たよりも辛いなぁ」
気が付いたら服は涙で濡れていた。
職員「日苗さん!」
老人ホームの職員さんが追い掛けて来た。
私は涙を腕で拭うと立ち上がって向き合った。
職員「…萩原さん、刑事さんだったんですね」
A「どういうことですか?」
職員「彼、認知症でここに入ったんです」
「あなたがやって来て、萩原さんを迎えに行ったら…最初から分かっていたかのようにワイシャツに袖を通してネクタイをして待っていたんです」
普段は女性職員に話しかけるくらいで他は外を見続けるばかりで喋らないという。
奇跡だと職員さんは微笑んだ。
認知症はある事をキッカケに頭が急に冴えることがあるらしい。
A「そうですか…」
職員さんは字を書く姿も、キラキラした目も初めて見たという。
職員「萩原さんにとって日苗さんは大切な方なんですね」
「また会いに来てください!待ってますから!」
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明里香(プロフ) - 192話、出来したじゃなくて、でかしたです。 (2022年9月23日 12時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
kne.hrknt (ハル)(プロフ) - blossomさん» 読んでくださりありがとうございます!これからも気長に待って頂けると嬉しいです。今後ともよろしくお願い致します^^* (2022年9月12日 7時) (レス) @page33 id: d39f522ad8 (このIDを非表示/違反報告)
blossom(プロフ) - えっ、えっ、えっ(以下略)...!?”帰る”って、え、この状況を知ってたってこと、預言者的な人がいた...!?!? すみません取り乱しました、更新を全力で待機します!!頑張ってください!! (2022年9月11日 21時) (レス) @page33 id: 2157140457 (このIDを非表示/違反報告)
kne.hrknt (ハル)(プロフ) - シンアさん» 数ある小説の中から選んで読んでくださりありがとうございます!!主人公の皆様をこんな未来に飛ばしてしまい…おじいちゃん学校組ですね(苦笑)これからもダラダラ進みますので気長に読んでいただけると嬉しいです^^*これからもよろしくお願いします!! (2022年8月27日 13時) (レス) id: d39f522ad8 (このIDを非表示/違反報告)
シンア(プロフ) - えっえっえっえ・・・気になりすぎて眠れない・・・とっても面白かったです!!陣平くんイケメンすぎてやばいです。60年後って。。ゆ、夢、ですよね?もとに戻りますよね?楽しみに待ってます!これからも頑張ってください!!! (2022年8月27日 2時) (レス) @page23 id: c430354ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kne.hrknt(ハル) | 作成日時:2022年8月8日 12時