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血の気の失せた瞼を震わせ、ゆっくりとAは目を覚ました。
琥珀色の瞳が虚ろに揺らめき、徐々に焦点を結ぶ。
……夢を、見ていた気がする。
長い長い、耐え難いほどの、悪夢を。
父が死に、王都が陥ち、すべてを奪われるという、たとえ夢であったとしても笑えないような、酷い夢だった。
あぁ、きっと、自分は疲れているのだ。
そんなはずはない。有り得るはずがない。
そんな現実が、存在するわけがない。
そう考えながら視線を巡らせれば、己の手がきつく握り締められていることに気付いた。
緩慢な動きで顔を向けた途端、泣きそうな顔をしているアルスラーンと目が合う。
「A……っ！！」
「……で、ん……」
「良かった……良かった……っ」
掛布から出た手を両手ですがるように握り、顔を歪めながらアルスラーンが繰り返す。
それをぼんやりと見つめ、Aは唐突に思い出した。
――あぁ、そうだ。
あの悪夢は、現実だ。
ここにアルスラーンが居ることが、すべての証明。
そこから芋づる式に昨夜のことまでを思い出すが、ダリューンと話してからの記憶がない。
寝台に寝かされていることから考えると、もしや自分は倒れたのか。
アルスラーンがくしゃりとした顔で説明する。
「おぬしが倒れたと聞いて、どんなに心配したか……。二日間、ずっと眠ったままで、このまま目覚めなかったら、どうしようと……」
「……でん、か……」
身体が重い。声がかすれる。
それでもありったけの力を振り絞り、握られていない方の手を伸ばす。
冷たい指先に己の手を重ね、蒼い瞳を見つめる。
澄みきった空のような眼差しは、Aの一番好きな色。
泣き出しそうなその色を安心させるように微笑んで、言葉を紡ぐ。
「申し訳ありません……ご迷惑をおかけして……」
侍女が主に世話をかけるだなんて、本末転倒もいいところだ。
最も辛い立場にあるアルスラーンを支えなければいけないのに、こんな有り様では何の役にも立たない。
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キース(プロフ) - めっちゃ面白いです……この作品に出会えたこと、本当に嬉しく思います。更新は無理をなさらず、お好きな時になさって下さい。待ってます！( ^ω^ ) (2022年2月18日 17時) (
レス) @page36 id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - Ｅさん» コメントありがとうございます！最終更新日から時間が経ってしまっていますが、そう言って頂けて大変嬉しいです。先の構想はあるため、ゆっくり綴っていけたらなと思います。その時はまたお付き合い頂けたら嬉しいです(^^) (2020年5月9日 17時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
Ｅ - 令和２年５月、あなたの文章は何度も私の心に響いています。いつか、この先のお話が読めることがあればと祈っております。何年たった後でも、ふとした時でもいいです。いつか先を紡いでいただくことを祈って、私は勝手ながら時折戻ってきさせていただきます。 (2020年5月5日 0時) (レス) id: 5e3fff8559 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - 柘榴ぷぁふぇさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです。お気遣いありがとうございます(^^) 更新頑張ります！ (2019年3月30日 21時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
柘榴ぷぁふぇ - 貴方様の作品全てがとても好きです。これからも応援しています。お体に気をつけてください。更新待っています (2019年3月30日 16時) (レス) id: 9d70aca6ea (このIDを非表示/違反報告)
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