四十五ノ幕 ページ47
「……ずっと『見て』いたのだな」
ちりん、と鈴の音が響く。
「源慧殿。貴方の情念とは、『恐れ』。お庸さんを恐れ、己の心を恐れ、恐れは恐れを呼び……いつしか人が得心できぬほどの強大な影となって貴方と身を分かち、海をさ迷っていた」
龍の三角を妖の海へと変え、この船を誘い、さ迷わせ。
船幽霊に海座頭。ウツロ船とお庸。
――そして、海坊主。
「『真』は―――貴方だ」
退魔の剣が、鳴った。
どこかでかすかな音が聞こえ、紫月は顔を上げた。
源慧が仰け反り、叫び声をあげる。
「そうだったのかっ……！ モノノ怪の『真』……私は50年もの間、それを……恐れ続けていたというのか……！」
地鳴りにも似た響きが鼓膜を覆う。
撥を動かす手を止め、紫月は息を呑んで目の前の光景を見つめる。
「……では、お庸は……？ お庸は一体何処へ……！！？」
「……モノノ怪になることなどなく、柱となって、この海とひとつになった」
くるり、と薬売りが退魔の剣を構える。
「あの海坊主は、心の奥底に在る別の心を覆い隠さんとした、貴方の、分……身」
その言葉と呼応するかのように、源慧の右目から姿を現しつつあった『何か』がその身を離れた。
それは黒い塊となり、源慧の身体を二分する。
「源慧殿に問う！！」
形を留めぬそれを見つめ、薬売りが叫ぶ。
「このモノノ怪を斬るということは、源慧殿の心を斬ること……二つに分かたれた心を一つとし、貴方が最初からなかったものとしたかった『本心』を心へ戻すということ！ それでも良いかと……問う！！」
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瑪瑙(プロフ) - 黒百合さん» ありがとうございます！私もとても嬉しいです(^^) この二人の行く末がどうなるのか、見守ってくださると嬉しいです！御期待に沿えるよう、頑張ります！！ (2017年11月15日 22時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒百合(プロフ) - モノノ怪好きの同士がいてとても嬉しいです！この作品じたいも面白くて夜中まで見入ってしまいました！薬売りさんかっこいいですよねっ！！続き楽しみにしてます！これからもとても楽しみです！二人の関係もとても気になるっ！！頑張ってくださいっ！！！ (2017年11月14日 1時) (レス) id: dabeaa8b16 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - 吾君トさん» ありがとうございます！とても嬉しいです！少しずつ近付いていく二人の関係を描きたいなと思っています。これからもよろしくお願いします！ (2017年10月10日 10時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
吾君ト(プロフ) - 創作小説の中で1番好きで、毎回の更新を楽しみにしています(^^)夢主さんを想いやる薬売りさんの言葉と行動には毎回ドキドキさせてもらってます！これからもお体に気をつけて更新頑張ってください！ (2017年10月10日 2時) (レス) id: 442a949fe3 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - 悠真さん» ありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです。少しずつですが、彼らの物語を紡いでいきたいと思います。頑張ります！ (2017年9月11日 22時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年9月7日 21時
