36 ページ38
パルス軍敗北の報せは王都エクバターナを震撼させた。
城下には恐怖と不安が蔓延し、それは王宮内とて同じこと。
不敗の王と呼ばれたアンドラゴラス三世が負けた。
おまけに本人は行方不明だと言う。
誰もが怯えた表情と不安を浮かべる中、Aは馬を駆って城壁へと向かっていた。
「パルス軍が負けた！？」
「アトロパテネで何があったんだ！？」
「アンドラゴラス王が負けるわけがない！」
「でも王が戻って来たという話も聞かないぞ」
混乱ひしめく声を拾いながら、A自身、ひどく冷たいものが胸を落ちていくような感じがしていた。
凍ったように冷たいそれは胸に巣食い、身体を侵食してゆく。
どこか現実味がないまま城壁へと辿り着き、階段を駆け上がる。
嫌な緊張感と沈黙に包まれたそこは、ひどく重苦しい雰囲気に満ち満ちていた。
思わず圧倒されかけ、どうにか冷静さを引き寄せる。
そして城壁の上から王都の外を見たAは、大きく目を見開いた。
――王都エクバターナを包囲するルシタニア軍は、あまりにおびただしい数だった。
地平線を黒く染め、黒煙を引きずり、黒い塊がやって来る。
その光景は禍々しく、見る者の不安を逆撫でる。
言葉には言い表せない恐怖がせりあがり、Aは足を引きずるようにして走り出した。
城壁沿いに進めば、やがてパルス兵が束になって集まっている場所へと辿り着く。
その中に見知った顔を見つけ、Aは叫んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
