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そんな自分を叱咤し、Aは顔を上げた。
弱気になっても仕方がない。
今は、自分の成すべきことをしなければ。
ヴァフリーズやダリューンから王宮のことを頼まれたのだ。
だから、しっかりしなければ。
髪をきっちり結い直し、仕事に戻ろうと腰を上げる。
齢17にして王太子付き筆頭侍女と呼ばれるAには、王太子がいなくとも仕事はわんさかとある。
主に他の王太子付きの侍女や侍従の采配、アルスラーンの部屋の維持など、王太子に関わるほとんどのことが彼女に回ってくる。
責任は重い。
されど、何としてもやり通さねばならない。
それが主君のためであり、自分を育ててくれた養父への恩返しだ。
「……どうか皆様、ご無事でお帰りくださいませ」
大切な人たちの無事を天に願い、城内へ戻ろうと踵を返す。
細い道を抜け城内へと足を踏み入れた時、廊下を勢いよく駆けてくる足音に気がついた。
「――A様！！」
Aの耳に切羽詰まった声が飛び込んでくる。
何事かと目を丸くすれば、転がるように顔見知りの兵が目の前に滑り込んできた。
真っ青な顔で荒い呼吸を繰り返す様子に、Aの背を強烈な悪寒が駆け抜けてゆく。
動揺しかける己を律し、冷静さをどうにかかき集めて問う。
「……何事、ですか？」
「ア、アトロパテネから、早馬が……っ！！」
目を見開く。
口の中がたちまち渇き、動悸が激しくなる。
頭の中で警鐘が鳴り響き、呆然とするAの耳に、悲痛とも言える叫びが飛び込んだ。
「我が軍がルシタニア軍に大敗！ アンドラゴラス陛下が行方不明になられ、ルシタニア軍が王都に迫ってきております……っ！！」
―――あぁ。
愛しい日常が、崩れる音がする。
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瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
