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「自分の弱さはわかっています。でも私は、置いて行かれたくない……」
置いて行かないで。
一人にしないで。
自分の知らぬところで傷付いて欲しくない。
危ないことにも恐ろしい目にも遭って欲しくない。
――もう、大切な人を喪いたくない。
「私は恐ろしい……もし殿下が、兄上様が、父上様がいなくなってしまったらと思うと、怖い、怖いのです。また一人になってしまったら、私はもう生きていけない……」
大好きだった両親は死んでしまった。
元々身体の弱かった母が流行り病にかかり、その看病をしていた父もあっという間に逝ってしまった。
幼かった自分には何もできなかった。
気付いたら独りぼっちで、行き場も居場所もなく道端に放り捨てられていた。
ヴァフリーズが見つけてくれなければ自分は今、この世にはいなかっただろう。
自分では気付かず、ひどく泣きそうで傷付いた顔をするAを見つめ、ダリューンが手を伸ばす。
Aの身体を抱き上げたまま、空いた手でほつれた髪を除ける。
出逢った時から変わらない優しさに緩くなった涙腺が更に緩む。
視線を上げれば、穏やかな眼差しと目が合った。
「大丈夫だ、A」
まっすぐな眼差しから目を逸らせない。
まるで視線を縫いつけられでもしてしまったかのようにダリューンを見つめれば、夜風に冷えた頬を包み込まれる。
「殿下は叔父上と俺がお守りする。この戦も、これより先からも、命続く限り」
「……兄上様……」
「それに――」
そこで言葉を区切って、ダリューンが楽しげに瞳を煌めかせた。
はっとすれば息を呑む間もなく、ダリューンがAの腰を抱いて回った。
ぐるりぐるりと、まるで幼子をあやすような回り方だ。
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瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
