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本当は、どんなに願ったところで連れて行ってもらえないとわかっていた。
自分にはその資格も実力もないこともわかっている。
だけど、言わずにはいられなかったのだ。
このまま彼らを送り出してしまうのは、何故かひどく、いけないことのような気がした。
焦げるように嫌な予感が身を苛む。
けれど、それはこちらを見つめる優しさの混ざった真剣な眼差しにたちまち霧散してしまった。
「A」
「……はい」
最早返す言葉もなく呼ばれた名に反応すれば、ヴァフリーズが改まった顔でAを見つめる。
「アルスラーン殿下に忠誠を誓ってくれぬか」
「え？」
思いもよらなかった言葉にAは目を見開いた。
言葉の真意がわからず、戸惑った表情で養父の顔を見返す。
「……私は既に殿下に忠誠を誓っておりますが……」
「それは殿下個人に、ということか？」
「……？ はい。パルス王太子、アルスラーン殿下に」
「本当に誓ってくれるか？」
くどいまでの確認にAは首を更に傾げる。
疑問を残しながらも、しかしアルスラーンに忠誠を誓うという点には何の曇りもない。
「誓います。全身全霊に賭けて」
「それならば、良い」
どこか思い詰めたような顔でヴァフリーズが頷く。
Aの戸惑いと疑問は更に大きくなる。
「……あの、父上様。なぜ、そんなことを……？」
「お前と……ダリューンだけには、アルスラーン殿下のお味方であって欲しいのじゃよ。お前の聡明さと優しさが殿下の助けになれば……」
「父上様……？」
「王宮を頼む。A」
確かな答えは返って来なかった。
言葉にし難い不安を抱えながら、Aはぎゅっと両手を握り締める。
「かしこまりました。……父上様」
自分は無力だ。
戦のことも、人を殺す術も、わからない。
ならば自分にできることをしようと思う。
思う……けれど。
「どうか……ご無事で」
その言葉に、養父は無言でAの髪を撫でた。
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瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
