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これまでずっと、そうだった。
戦へ行く彼らを見送ることしかできず、その無事を祈ることしかできず。
戦へ赴き、無事に帰って来られる保証などどこにもない。
それはアルスラーンだろうがダリューンだろうが、ヴァフリーズでさえ同じこと。
何もできず、ただ待っていることは息ができないくらい苦しくて、己の無力さをまざまざと見せつけられる。
そんなのは、もう嫌だった。
ならばせめて、傍で自分にできることがしたかった。
けれど、ヴァフリーズは決して首を縦には振ってくれなかった。
「お前は連れて行かぬ」
「父上様……！！」
「お前に人が殺せるか？」
ひどく、静かな声で問われた。
はっとすれば、厳しい、武人としての養父がいた。
「自分を殺そうとする相手を殺される前に殺す。戦とはそうして成り立っておる。……平穏を愛するお前には無理じゃろうて。戦を厭う、お前には」
「そ……れ、は……」
返す言葉が見つからなかった。
戦は嫌いだ。
人が殺されるのも、人を殺すのも。
甘いと思っている。
そんなことは承知している。
だけど、殺すことだけが守ることではないだろうに。
壊すことで生まれるものなど、失ったものを思えば微々たるものでしかなかろうに。
……それでも、そんな綺麗事が通用しないということをAは知っていた。
どこか泣き出しそうな顔をするAに近付き、ヴァフリーズが眉尻を下げる。
「A、お前は賢い娘だ。自分に何ができるか、お前が一番よくわかっておろう」
その言葉に俯く。
口を閉ざすAの髪を撫で、ヴァフリーズが言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「お前を養女にしたのは、何も戦で人を殺させるためではないぞ。……自分にしかできないことをなさい」
染み入るような優しさの込められた言葉に、Aは瞳に涙を滲ませた。
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瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
