22 ページ24
「なぜ、あの者を討つことをお止めになったのです？」
「いや……つい……」
「つい……」
その返答にAが目を点にし、ダリューンが肩を落とした。
「わかりました。私が打ち損じたことにしておきます」
脱力したようにダリューンが言い、その傍らでAはふと視線を周囲に巡らせた。
野次馬が集まり、ひそひそと話し声が聞こえる。
何を言っているのかまではわからなかったが、アルスラーンに向けられる視線と雰囲気からして、あまり良いものではないだろう。
数多の視線からアルスラーンを庇うように立てば、今度は子どもが三人、引きずってこられる。
「殿下！！」
「申し訳ありません殿下！！」
「貴様らのせいで殿下の御命が危険に晒されたのだぞ！！ 覚悟はできておるのだろうな！！」
歳は多分、アルスラーンとそう変わらないだろう。
泣きながら許しを乞う子どもたちを見つめ、Aは呆然と首を傾げる。
「なぜ、この子たちが……？」
「あのルシタニアの捕虜を逃がす原因となったそうだ。彼らを庇い、殿下がさらわれた」
戸惑うAにダリューンが説明する。
アルスラーンが人質となったということばかりに気を取られていたAは、その説明に目を丸くした。
今回のことは、一歩間違えれば取り返しのつかないことになっていた。
下手をしなくとも国を揺るがす大事態だ。
ごめんなさい、で済む話ではないのだが――、
「良い。放してやれ」
あっさりとアルスラーンは言った。
Aたちの方が呆気に取られる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
