【オリジナル】花売り少女と時止めさんⅣ【名前変換可能】 (ページ36)

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隣に着地したルシファーは相当焦っているらしく、急ぎ早に話し始めた。

「花売りちゃん、もんのすごぉく！まずい」
「ど、どうするんですか」
「どうしようって言われてもねえ。飛ぶと飛ばされるしぃ……こっちの声聞こえてないみたいだしぃ」
「ええええ！」

唇をとんがらせるルシファーにユーリは悶えた。
　でもたしかに彼の言うとおりである。ルシファーは身長がルチルよりも高かった。なのでその体を支えるとなればその体とバランスをとるくらいの面積の羽が必要になる。つまり大きくて風を受ける範囲が広いのだ。それにユーリも簡単に飛ばされるこの風圧だ。尚更だろう。

「まあ、どうしようもないから呑気に説明すると、今ルチルくん本気で怒って理性が切れたんだよね。それと同時に蓄積していた魔力が体内で膨張して、こんな感じになってるの」
「ちょ、ちょっと待ってください！もしかして、私が原因ですか！？」
「七割そうじゃない？」
「そ、そんな……どうしましょう！」
「どうしましょうって言われてもねー……僕も身動き取れないからどうしようもないわぁ……少なからず応援くるまで、耐えるしかないでしょー」
「無茶苦茶な」
「しょーがない」

うんうんと頷くルシファーにユーリは頬を引きつらせた。自分が原因でこんなことを起こしてしまったのに。ああ、でもこれは本当にルシファーが言うようにどうしようもない気がする。

「更に言うと、今理性がきれているので変化の魔法が解けかけてるから本来の姿に戻りつつあります」
「え、えええええ」
「彼、二十メートルぐらいだったから、戻られたら僕ら潰されるかも」
「どうするんですかああああ」
「逃げる手段はひとつだけ……風に流されるしかないよぉ？」
「怪我ですまないんじゃないですか、それ！？」
「僕は、平気だと思うけど……君がねえ」

半ば遠い目になっているルシファーに、ユーリは絶句した。これは……自分でまいた火種かもしれないが、ひどすぎる。
　どうやらルシファーの様子を見るに“本当に解決方法がない”らしい。
　その瞬間ルシファーが、目を細めてユーリの頭を地面に思いっきり押し付けた。へぶっとかわいらしくもない悲鳴をあげて、ユーリは顔面をもののみごとに地面にこすりつける。刹那、乾いた銃声が響きユーリは大きく目を見開いた。

「こんなときに……信じられないねえ、ほんっと」