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ルチルはその目を大きく見開いたあと、声の主であるベルを見た。ベルは不安そうにルチルの顔を覗き込んで首をかしげた。
「大丈夫ですか？」
「ん……あ、ああ……すまん」
いつの間にか、前へと進んでいた足は止まっており、軽く眩暈を覚えた。先ほどの記憶が原因だろう。しかし、前に進まなければと一歩先に足を踏み出したときだった。ぐらんと先ほどよりもひどい眩暈と吐き気がルチルを襲い、悪寒に肌が栗立つ。立っていることすらままならなくなり、ルチルはその場に崩れ落ちた。
「ちょ、え……ルチルさん！？」
こんなこと、してる場合じゃない。頭で理解していても、体がそれを拒む。腕と首が、酷く焼けるように疼き、泣き出してしまいたい気分に襲われた。
(もう……嫌なんだよ。嫌なんだよ。あいつが、危ないかもしんねえっつうのに)
ベルの声が耳元で聞こえたが、もう気も配ることができなくなっていた。こんなところで倒れたら、ベルまで危険な目にあう。どうにか、意識を保たなければならないと、ルチルはどこかで理解していたが、それが叶うことはなく。
暗転。
†
「……これ」
「え、あ……えと、ありがとうございます」
あれから、しばらくして、ロイドの家についた。案外、普通だったロイドの部屋は、魔道書やら、設計図やら、布やらとっちらかっており決して綺麗とは言えなかった。適当に腰掛けるように言われたユーリは、猫足のいすに腰をかけた。使いこまれている椅子は、磨り減っているせいかやけに馴染みやすい。ユーリがきょろきょろと辺りを見回していれば、目の前にずいと差し出されたのはひとつのマグカップだった。シンプルな白色のもので、受け取れば熱が手に伝わってきた。
渡されたのは湯気がたつホットミルクで、徐々に熱を持ち始めるマグカップはすこし動転していたユーリの心を落ち着かせるにはとても良かった。
ロイドはどこかユーリの表情が和らいだことに気付いたのか、彼女を一瞥し小さく欠伸をしたあとソファに腰掛けた。
ミルクの柔らかな甘い香りが鼻を刺激し、ユーリは思わず笑みを浮かべる。息を吹きかけて、口に含めば柔らかな甘みが舌を刺激した。
ロイドは喋る気は相変わらずないらしく、新聞を広げると視線をユーリに向けることはなくなった。
(大丈夫かな。ルチルとベルくん……何かなければいいんだけど……)
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音霧想@ホラーゲーム製作中(プロフ) - ちくわのカルパッチョさん» コメントありがとうございます！ 最近、めちゃくちゃになってきて設定が活かしきれてないと反省しておりましたが、嬉しい限りです。まあプロット書かないのが原因なんですが。さて、質問への回答なのですが、４〜５章を予定しています。 (2016年8月17日 22時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわのカルパッチョ(プロフ) - 前作から読ませて頂いています。こう、詰まった感じの文章が好きです。質問なのですが、これは何章くらいまであるのでしょうか。エンドが気になって夜も眠れません (2016年8月17日 21時) (レス) id: e4960897d7 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@ホラーゲーム製作中(プロフ) - 城山さん» ついでに前のシリーズのほうは読みましたでしょうか。続編なので、そちらを読まなければ、話が繋がりません。 (2016年8月1日 17時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@ホラーゲーム製作中(プロフ) - 城山さん» 申し訳ございません。具体的に、どこ辺りが読解できなかったのでしょうか。修正したいのでお願いします。 (2016年8月1日 17時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
城山 - この物語がうまく読解できないです。読んでいて楽しくない…。 (2016年8月1日 17時) (レス) id: 7b615acfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音霧 想 | 作者ホームページ：現在、花売り少女と時止めさん公式ホームページ建設中
作成日時：2016年7月8日 21時
