（改稿） ページ33
ついでに、ユーリが少し心理学について教えてほしいと、ねだったところ今までにはないレベルで、怪訝そうな顔をされたのはここだけの話である。
ユーリが倉庫から白いダリアの種が入った小さな袋を持ってくると、ルチルは軽く目を丸めた。そして小声で呟く。
「……種なのか」
「……種からです」
ユーリは頷くと、袋の中から種をひとつ取り出した。そして、それをルチルに手渡す。ルチルはそれを無言で受け取る。
縦長の黒の薄い種。これがダリアの種である。その種にルチルは眉を小さく潜めた。そして空いた手で少し触ってみる。別にこれといっておかしなところはない。しかし、やはりルーラーというべきか、彼は少しすると顔をあげてユーリに問うた。
「この時点で魔力が入ってるのか」
「そう、みたいですね」
「……しかも、だいぶ複雑な魔法がかかってる」
それにユーリは目を丸めた。ルチルが言うならよっぽどなのかもしれない。そこでユーリはふと気づく。あれ、これ……魔法に関して聞かれるんじゃ……。
言花の種は決して市場などでは手に入らない。前も言ったと思うがある一定の人間しか作ることが出来ないのだ。しかし、あのことがばれてしまったら……ユーリは思わずきつく口を結んだ。あの、冷めた恐ろしい目が記憶の中よみがえる。
ルチルはそれを見て目を細めた。そしてユーリの頬をぷにぷにと押す。ユーリはそんなルチルに目を丸めて見上げた。
「大丈夫か？」
「え、ええと……」
「ただ、シンプルにしてもいいかもしれない。それならカスミソウもいいかもな」
あれ。ルチル……もしかして、気づいてない？ ユーリが目をパチクリと動かせば、ルチルはどこかうきうきとした表情で、顎に手を当てていた。そしてユーリの視線に気づいたのか、赤と金の目をこちらに向けて、なんだと低い声で唸った。
いや、別にどうというわけではないんですが……ユーリがえへへと笑みを浮かべれば、ルチルは少し眉を潜める。
「……そんなヘラヘラしてる暇、ないだろ」
「え、あ」
「魔法。見せるの忘れるかもしれん。なんせ俺も、完璧じゃない。むしろ忘れっぽいからな」
そう言ってルチルは種をカウンターに置いた。
いや、説得力がすごくない。花に関してあんな膨大な知識を抱え、パッと出てくる辞典で忘れっぽいなんてあるもんか。むしろ、完璧じゃないだろうか。とユーリは眉根を顰めた。
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音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - 五十鈴さん» コメントありがとうございます。お気に召していただきありがたい限りです。今後もゆるい作者ですがよろしくお願いします。 (2016年11月27日 15時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴(プロフ) - 私のハートにこのお話がどストライクしました(真顔)めっちゃ面白かったです！(*^-^*) (2016年11月26日 23時) (レス) id: 72f0cf2fb8 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想(プロフ) - チョロ猫さん» コメントありがとうございますm(_ _)m現在、テスト間際ということで更新停止させていただいていますが、これからも楽しんでいただけたらなと思います(*ﾟ▽ﾟ*)ゆるゆるな作者ですが何卒よろしくお願いします。 (2016年6月27日 8時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
チョロ猫 - この小説の雰囲気すごく好きです。話の内容も、優しくて読んでいてとても楽しいです！更新楽しみにしています！！がんばってください！ (2016年6月27日 1時) (レス) id: d16235083c (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@ホラーゲーム製作中(プロフ) - ミカノンさん» ありがとうございます! そう言っていただき光栄です。 (2016年6月12日 10時) (レス) id: cc2ec66050 (このIDを非表示/違反報告)
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