燃えろ ページ5
意地悪。
この敵にとって私たちは交渉に必要な人質でも何でもない。
ただ、エンデヴァーに"見て"もらうための駒だ。
斜め前にいる夏兄を見る。
私と同じように拘束された夏兄は、お父さんたちが乗る車の前に掲げられていた。
「な…つにいに、手出しした、ら、許さない。」
「大丈夫！！お前らはエンデヴァーに看取られて死ぬから！！しあわせだろォ…！？」
その言葉を聞いて、堪忍袋の尾が切れた。
何が、しあわせだ。
ちっとも幸せじゃない。
まるでこの世の最上の幸福がエンデヴァーであるかの様な物言いに腹が立って、左半身がカッと熱くなった。
「燃えろ……」
青い炎が導火線のように白線を伝っていく。
「お前も強個性かよ！エンデヴァーの娘ェ！」
熱い熱いと言いながら笑っている姿はまさに狂気だ。
お父さんも随分なヤツに好かれたものだ。
白線が有機物なのか考える余裕は私には無かった。
ただ絶え間なく薪を焚べるように、左半身から轟々と音が立つほど蒼炎の火力を上げるだけだ。
「アァ"熱い！熱い！」
口を塞がれた夏兄が何か叫んでいる。
……心配しないで。夏兄は死なせない。
意識が朦朧として、時たま上がる爆発音と蒼い火柱が私を正気に戻すことを繰り返す。
キャパオーバーが近いらしい。
もう夏兄を見る余裕もなくて、とうとう爆風と一緒に白線が焼き切れて、遠くへ吹き飛ばされる感覚だけがあった。
「Aっ！！」
名前を呼ばれた瞬間、鈍い衝撃が体に加わる。
「……おにい…ちゃん？」
「あぁ、焦凍だ。」
「何だ…」
舌が熱くてまともに喋れない。
犬のように短く荒い呼吸を繰り返していると、口に氷の塊が流し込まれた。
「あついの……」
「うん。」
「夏兄はへーき？」
「何も心配しなくていい。」
地面に激突するスレスレで抱き止めてくれた兄は、私の左半身を冷やすことに勤しんでいた。
「お前はここにいろ、絶対夏兄を助けるから。」
氷の塊にもたれかかるように座らされる。
閉じかけの視界に入ったお父さんは、棒立ちのままだった。
バァカ、ヒーローのクセに家族も守れないじゃない。
口の端をクッと上げて目を閉じる。
緑谷さん、赦せる日なんて私には来ないよ
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くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
