鬼の頚3 ページ25
「千寿郎！申し訳ないが、急遽、炎屋敷に戻る事になった。荷物は少しずつ取りに戻る故、時間のある時に纏めてくれるとありがたい！」
「炎柱様、まだお体の回復が十分でないのなら無理はなさらず此処で…」
「宇髄から君を『片時も離すな』と言われたんでな！此処では、父上と千寿郎の手前、君も居づらいだろう」
パタパタと廊下を走る音が近づき千寿郎が顔を出す。Aを見つめるその顔は平静を装いつつも、大切な姉のような存在が鬼になっていく悲しみを物語っている。
「千寿郎、案ずることはない！竈門少年も、妹を人間に戻す方法を模索しているのだ。俺もAを人間に戻す方法が必ず見つかると信じている」
Aと二人、実家を後にする。雲が低く立ち込めた冷たい色の空の下を半刻も歩けば炎屋敷に到着する。
ガラガラガラッ
玄関の戸を開け、人の気配がない淀んだ空気の立ち込める屋敷に冬の凛とした空気を流し込む。
「俺が療養の間は炎屋敷付きの隠しに、暇を出していてな。俺が完全に復帰するまでは君と二人で此処で過ごすんだ」
日輪刀を置き、胡座をかく俺の側で、Aはずっと、立ち竦んだままだ。
「此処なら誰かに何かを言われる心配もないだろう」
Aの手を引き、抱き寄せながら唇を奪う。
「駄目です、杏寿郎様」
「何が駄目なのか分からないな」
そう言いながらAの隊服の釦を外しながら、内腿を撫で上げる俺の手を、Aが掴み、必死で抵抗する。鬼化のせいで、やはりもの凄い力だ。
「Aが、どんな姿でも俺はお前が欲しい」
「駄目です！杏寿郎様を、汚してしまいます！」
「君に汚されるのなら、本望だ。それに…」
Aを失った後、一度だけ花街で遊女を買った。その遊女を抱きながら、俺は脳内でAとの行為を反芻していた。汚れたのは俺なんだろう…。
「…鬼と人間では…」
「なら試してみるか」
目を閉じたAの頬を涙が一筋伝う。
「杏寿郎様…」
俯いたままのAが、蚊の鳴くような声を振り絞る。その唇が、次の言葉を紬ぐ前に、俺はもう一度、自分の唇でAの唇を塞いだ。
＊＊＊
後日 Rで…
＊＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫巻(プロフ) - 桃平さん» 夢主じゃ、童磨殿には敵いませんからね…😣しばらく地味な展開になりそうです😢 (2021年12月8日 7時) (
レス) @page12 id: 1125bff897 (このIDを非表示/違反報告)
桃平(プロフ) - え⁉️😱夢主ちゃん⁉️よもやーーーッ (2021年12月7日 23時) (レス) @page12 id: 338e350c4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫巻 | 作成日時：2021年10月18日 1時
