26話 ページ28
日も暮れて随分経っても、リドルは必死にAを捜索していた。その仕草は痛々しく、トレイは溜め息を吐き、リドルへ背後から声を掛けた。
「……もうやめないか?リドル。明日になれば目撃情報が出てくるかもしれないだろ」
「……」
「自分のマジカルペンを見ろ。……それに、Aだって、きっと今頃お前が自分を責めてるだろうって心配してるぞ」
「……」
「……リドル、Aが帰って来た時にお前が潰れてたら、Aは自分を責めるぞ」
「……」
「な?だからもう、今日は終わりだ」
トレイの言葉に、泣き腫らした、虚な目をしているリドルは、しかしトレイの言葉の正当性に小さく頷き、俯き、寮の方へふらふらしながら歩いていく。
「それにリドル、……お前も狙われてる可能性があるってこと、忘れるなよ。……今現在、思い当たる失踪の原因がケイトのマジカメにアップされた写真だけなんだからな」
「……」
「お前がいくら自分を責めたって、Aが帰ってくるのが早まる訳じゃない。……お前が寮長としてしっかりしていないと、責められるのはAだって、A自身も言ってただろ」
「……」
「今お前に出来るAへの為の行動は──寮長としての責務を、しっかり立って全うし続けることだ。……警察も動いてる。プロに任せて、お前は自分の仕事をしろ。Aに託されたんだろ?」
「……」
「いいか、リドル。甘えるな。そんなに取り乱した姿を、トップが下に見せて良いわけがないだろ」
「……」
「俺の言ったことがわかるな?」
「……ん」
「よしよし、お疲れさん」
トレイがリドルの頭をわしゃわしゃと撫でると、リドルの瞳からぼたぼたと大粒の雫が垂れる。
「Aも、お前がこんなにAのこと必死で探してたって聞いたら喜ぶだろうな」
「……」
「……あいつの強さはお前も知ってるだろ。あいつの一番の強みは魔法じゃない。だから──そのうちひょこっと帰ってくるさ」
「……」
トレイの言葉に、長い長い沈黙の後、──それでもリドルは、頷いて見せた。
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功徳(プロフ) - オパールさん» 完結しているのでよろしければ続編に行っていただいて最後まで読んでいただけると嬉しいです🥰 (11月10日 20時) (レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - すんごく面白い!です。 (11月10日 20時) (レス) @page50 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
チョコドーナツ(プロフ) - 自分さん» はい!フォロバして頂いてました!こちらこそありがとうございます!テスト期間終わったらどんどん読んでこうと思います(≧▽≦) (2022年7月4日 20時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - チョコドーナツさん» ありがとうございます〜恐らくフォロバしていると思います〜引き続きよろしくお願いします〜 (2022年7月4日 8時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
チョコドーナツ(プロフ) - 初めましてー!ネッ友からの紹介で殴れ、リドルを少しですが読ませて頂きました!凄く面白いです!あ、Twitterもフォローさせて頂きました!✨ (2022年7月3日 19時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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