19話 夢 ページ21
影山side
初対面の時の印象は、変なやつ、だった。
『影山君。一緒に行こう』
バレーを始めてから、まだ1週間も経っていないある日に、突然家の前で声をかけられた。
影山「……おう」
家が隣の人か。この人もバレーをしているのだろうか。そういう説明もなしに、一緒に、とも言ってたくせに、ふらふらと歩いてしまう。
『影山君の、下の名前何?』
影山「飛雄」
『そう。飛雄、仲良くしてね』
距離を詰めるのが、異常な程に早かった。Aは、やっと隣を歩き始めた。
『私はAだから。そう呼んでね』
影山「え……」
普段、女子を下の名前でなんて呼ばないから、少し抵抗があった。でもAは、そんな俺を不思議そうに見つめていた。
『飛雄。呼んでね?』
無表情で。
『私は、あまり友達がいないから』
それは明快で、とてもわかりやすい理由。まるで、俺じゃなくても、友達になってくれるのなら、誰でも良いような言い方だった。
影山「……わかった。A」
変なやつ。
少なくとも俺は、こんな小学2年生を、見たことがない。
影山「……?」
目を開く。いつの間にか、眠ってしまったようだ。自分のベッドに入っているが、どうやってAの家を出たか覚えていない。
随分と、懐かしい夢を見た。
合宿の疲労と、Aとのやりとりのショックのせいで、まだしっかりと目が覚めない。とろんとした瞳は頼りなく、うつらうつらと、また俺は、薄暗い部屋で瞼を下ろした。
いつまでも、夢の中の思い出に浸っていたい気分だ。
少し、頭が鈍く痛んだ。
きっと、
影山「恋をしたから」
目を瞑ったまま囁いて、俺はもう一度、思い出に浸った。
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最初から仲良しこよしではなかったようですね。
あと少し回想続きます。
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鈴松しおん@受験により低浮上(プロフ) - ぼんじんさん» 私が調べた方では本だったので誤差かもしれないです、申し訳ないです…こちらこそ返信ありがとうございます。 (2020年1月7日 15時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» 幼馴染の定義について調べましたが、明確な年齢はヒットしませんでした。幼馴染と言える年齢については匙加減なのでは?とは言え、確かに小2からは微妙だったかもしれませんね。ご指摘ありがとうございます。謝罪なんてとんでもない!細かく見てくださって嬉しいです。 (2020年1月7日 11時) (レス) id: 009ada25a1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - ごめんなさい、細かいようですが小2では幼馴染とは言いませんよ。最低でも小一からです。幼馴染の定義は2〜6歳までの時に親しくなった人というものです。 (2019年11月21日 13時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - どうもこんにちは。作者のぼんじんです。完結編の方に、先程お話を更新しました、というお知らせだけさせていただきます。見て頂けると幸いです。 (2019年7月15日 14時) (レス) id: 17a047e34b (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - あ る ひさん» ありがとうございます!文章は、自分なりに頑張って書いているので、褒めて頂けるのはすごく嬉しいです!精進します!! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 4504acb9f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼんじん | 作成日時:2018年6月8日 21時