episode70 朝方 ページ24
ふと声がして、そのあとに頬をたたかれる感触。
急に目の前がまぶしくなり、私は小さく唸った。
「……おい。起きろよ」
聞きなれた声がした。朝から聞きたくもない。
声の主に大体想像が付いた。
「……んあ」
次第に目が光りに慣れてきて、ようやく目の前にいる人物が視界に入る。
別に視界に入ってこなくてもいい面構えが3人。
「あ、A起きた!」
「爆睡だったね」
「ったく、電車で爆睡するなっての。遥も」
「すいません……」
「なんでお前らがいるんだよ」
「とにかく降りるぞ」
弘にそういわれて、すでに乗客のいる車内から降りる。
寝起きの目をこすり足元をふらつかせながら、私は再度同じ質問をした。
「なんでいんだよ」
「電車の中を3人でうろうろしてたら、Aと遥見つけたんだ!二人して寝こけてたんだよ」
「お前ら何で満員電車の中をうろつける」
「え、そんなに混んでもないよ」
「そうだね。テレビで見るようなラッシュではなかったし」
春秋に続いて優真が付けたす。
「俺はひとりで行きたかったんだけどな」
なるほど、なんとなく理解した。
優真と春秋で一緒に来ていて、弘と合流。(つか同じ駅のはずなのに見なかったな)
それで私たちを見つけて、なんとなくその場でからかっていたら終点につき、まず遥を起こしてすんなりと起きる。問題は私なわけで。
「A、昨日何時に寝たわけ」
「12時くらい」
「おそっ!次の日早起きするってわかっててその時間!?」
優真はやっぱり、という顔をして、春秋は過剰なくらいにのけ反る。
その反応に苛立ち、私は歩を速めた。
段々と眠気も冷めてくる。
それからはいつもの5人で空港までの道のりを進んだ。
空港行きのモノレールの中で、春秋はぎゃあぎゃあと騒ぎうるさかったし、優真は立ったまま寝るし、弘はずっと読書で、私と遥はふたりで永延とおしゃべり。
これから本当に修学旅行に行くのかと思うくらい、いつも通りの、いつもより少し早い朝だった。
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葉奈(プロフ) - 萌菜さん» いつもいつも本当にありがとうございます!!すっごい嬉しいです!がんばります!!! (2013年11月17日 13時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
萌菜(プロフ) - 私やっぱり葉奈さんのファンです!1,2と一気に読みましたが、最っ高に面白かったです!! (2013年11月17日 10時) (レス) id: c538a33189 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 葉奈さん» おう! (2013年11月13日 19時) (レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - うちわさん» ありがとー!がんばるね!!これからも読んでやってくれ(( (2013年11月13日 19時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 葉奈さん» そう?私は葉奈を応援してるからね!誰がなんといおうと←更新楽しみに待ってるね! (2013年11月13日 19時) (レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2013年9月2日 17時