寂 ページ27
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----『何しても良いよ。何もしなくても』
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誰からも禁止されてはいなかったけれど、"許された"みたいに感じられる、休養の時間。
爪を噛むと、二宮のことを思い出した。
『それやめな。せっかく綺麗なんだから』と、大野の手を引っ張るときの半笑い。
すこし馬鹿にされているようで、でもどこか柔らかさを感じる目元。
その顔が
いつもというわけではないが、ときどき無性に、恋しく寂しかった。
そんなときは、なんとかして迎えに来てくれやしないかと、大野はどんどん爪を噛んだ。
大野の心には波があった。
予報も予告もない、天気にも左右されない海のうねりのような、ややこしい波だった。
夜、どんなに穏やかな気持ちで眠っても、翌日の朝、身体が痺れるほど起きにくくなっていたり
昼間、唐突に寂しくなって、どうしようもなく、相葉が来るまでの時間を数えたり
そんなふうに突然に、暗く沈むこともあれば、
部屋と庭の静けさについて、ほんとうに好ましいと思って、鼻歌でも出そうになったり(出せないのだが)
櫻井との会話で残ったメモを眺め(捨てずに取ってある)、懐かしいアルバムをめくるときのように胸を温めたりと
突然に嬉しく明るむこともあった。
ただそれらは、大野の意志に関係なく浮き沈みするので、自分の心が明るくあれど暗くあれど、自分以外の何かに振り回されたような気分になって、そのあと、ずいぶんと疲れるのだった。
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その日も、畳に頬をつけていた。
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朝食の食器を下げにきた相葉が、去り際、『内緒ですよ』と無邪気に笑って、小さな和菓子をくれたのが嬉しくて、その包み紙を破らないように、そっとたたんで取っておくことにした。
そのようなことがあったので、相葉が去ったという寂しさが、余計に来た。
淡いピンクの菓子の包み紙を、ひとりで手で弄ぶ。
和紙みたいにかさかさと薄く、高級感があるなあ、と思う。
畳は、それほど柔らかくないので、ずっと寝転んでいると頭痛がしてくる。しかし頭痛を取り払わなければならないほどの緊急の用事もないので、そのままにしていた。
(…雨降りそう)
ふと窓の外を見て、そう思う。
暗い雲が立ち込めていた。今日は、昼になってもなかなか温まらなかった。
今にも雫をこぼしそうな、うつうつとした空を見て、ふ…と温度の低い息を漏らしたところで
コンコンコン、と、入り口のドアがノックされた。
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きんにく(プロフ) - 律さん» 律さん！こちらにも来ていただいて本当に幸せです〜ありがとうございます（泣）ご期待に添えるようなお話が書けたらなと思います！ (2021年1月8日 11時) (
レス) id: d7e5080941 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - はるさん» はるさんはじめまして！お越しいただき誠にありがとうございます。そんなふうに言ってもらえて幸せです♪がんばります！ (2021年1月8日 11時) (レス) id: d7e5080941 (このIDを非表示/違反報告)
律(プロフ) - やっぱりきんにくさんの小説が大好きです！癒しです！続き楽しみにしてます！ (2021年1月6日 19時) (レス) id: 820f2de8f4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - きんにくさん、初めまして。素敵なお話ありがとうございます。これからも楽しみにしています。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - satominさん» satominさんありがとうございます♪毎度毎度、恐縮でございます。おおお…私が読んでる本は暗くて長くて素敵な本です(笑)その人たちみたいに書けたらなあと思いながらなかなか…な日々です(笑)嬉しいことを聞いてくださってありがとうございました♪ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 3c003d42b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きんにく
| 作成日時：2020年10月19日 16時
