寝不足のわけ ページ12
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「ふあ〜……ぁ、」
「大きなあくびだね。気持ちよさそう。」
「は、凪砂様!失礼いたしました!」
「失礼していないよ。眠たいの?」
「はは、少しばかり…」
「いつもピシッとしてるから珍しいね」
ライブや表向きの時とは違い穏やかに話す。
巴家から直接皆様とESに戻り、撮影の真っ只中
Eveの二人が衣装を着て、背中合わせに撮影している。
それを見て指示などを出す茨。
私はマネージャーだというのに、茨がいるから特にすることもなく、凪砂様の隣で座っていた。
座ってしまうと眠気があっという間に脳内を侵略してきて、先程のような大あくびをしてしまうのだ。
茨に見られていたら仕事してくださいなんて怒られてしまうかもしれない。
「Aは昨日帰ってきてから早く部屋に戻らなかった?」
「そうなんですが、ちょっと……」
「ちょっと?」
全てを見透かすかのような目で見つめられる。
……茨とベッドに入ったらソワソワして全然眠れなかった、なんて絶対に言えない。
「考え事をしてしまいまして!」
「ふぅん……、どんな?」
なぜこんな時に好奇心旺盛になってしまうのですか。
ははは、と乾いた笑いしか出来ず、必死に脳を回転させる。
「そうですね、皆様の今後のことや、えっと、」
「ふふふ。可愛いね。わかった、大丈夫だよ」
「ご理解いただけたようで良かったです!」
ほっ、と胸をなで下ろした。
危ない。バレるかと、
「閣下。僭越ながら、あまりAをいじめないでいただけるとありがたいですな!あちらまで聞こえております!」
「ごめんね茨。君の大切な人にちょっかいかけてしまって」
「そうですね、Aは大切なマネージャーですから」
「今はそういうことにしておいてあげる。」
内心ブチギレているであろう、ニッコニコの茨がいつの間にか笑いながら凪砂様の意地悪を止めてくれた。
Eveの二人は写真を見返しているところらしい。
凪砂様はこちらに向き直りごめんね、と楽しそうに謝ってくる
……やっぱバレてましたよねぇ
恐る恐る茨の方を向けばアイコンタクトで分かってしまった。
『後で副所長室に来い』と。
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作者名:はなちゃ | 作成日時:2022年10月12日 18時