貴方が行くなら ページ1
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凪砂様と日和お兄様の撮影データが入ったUSBを落とさないよう、副所長室へと向かった。
きっとそこにいるはずだから。
ドアを軽くノックをすれば、中からはい、と茨の通った声が聞こえる。
「Aです。撮影データお持ちしました。」
「お疲れ様でした!さぁさ、中へどうぞ」
ガチャ、とドアが開くと同時に茨が顔を出す。
片手でドアを支えながらもう片手はしっかり敬礼をしている。
中に入れば、以前茨が飲んでいた珈琲の香りがした。
「今日は真っ黒じゃないんですね」
「あぁ、気分転換にミルクを少し。そういえば殿下は大丈夫でしたか?」
「このデータ見ていただければわかりますよ」
「恐ろしい言い方しますね」
少し笑いながら茨はUSBを受け取った。
あ、ご飯会のことも今言っていいのかな?
きっと忙しい等と理由をつけて断られそうだけど…
「日和お兄様が今日Eveのラジオ収録が終わったあと、時間があればみんなでご飯を食べたいと申してたのですが。」
「それは、Aも行くんですか?」
茨は先程のUSBをパソコンにさし、データを確認しながらそう言った。
「その予定です。」
「……では自分も行きます。」
「お仕事は大丈夫ですか?」
「えぇ、Aがマネージャー業を滞りなくやってくださっているのでかなり効率が上がっています。問題ありません。」
それは、私のおかげって言ってると思っちゃっていいのか
勘違いなら恥ずかしいが、急に褒められた気になってつい視線を逸らしてしまった。
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作者名:はなちゃ | 作成日時:2022年10月12日 18時