[FEif]恵まれ無かった“真”第一王子~2章~[男主]

静かな夜 ページ24

一定のリズムの吐息。

暗い部屋、人間の体温。

今、私の腕の中にカゲトラがいる。

...体温が高い。

熱でも出しているのか?

しかし呼吸は整っている。

ではこの熱は...

マークス(......私か。)

他の誰と触れても、熱は上がらない。

心臓の動きも正常だった。

しかし今はどうだ?

鼓動は激しく、熱は上がる一方だ。

私はカゲトラに触れる時だけ、こうなっている。

......自覚はしていた。

幼い頃からだった。

だが、口に出してしまえば全てが終わる気がした。

...いつか、言おう。

そして、いつかいつかと言って、未だに言えていない始末。

小さな頃に言うと約束したのに。

...いや、カゲトラはもう覚えていないだろうが。

マークス「カゲトラ......。」

カゲトラ「......。」

...寝ている。

言ってしまおうか。

相手は寝ているんだ、言ってしまっても構わんだろう?

マークス「私は......お前が...。」

...出てこない。

言葉を失う。

相手は寝ているというのに、まだ言えないままか。

ああ、苦しいものだ。

マークス「.........いや、止そう。」

馬鹿げた男だ、私は。

今は忙しいというのに。

恋情に走るなどと...

カゲトラ「マークスくん...?」

マークス「!!」

...その目は。

何かを訴えているのは確かだ。

...だが、私には今、答える事などできぬ。

マークス「カゲトラ、もう夜は長くない。寝た方が良い。」

カゲトラ「.........。」

そのまま静かに夜は過ぎた。

......私の鼓動のみを外して。

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