365日、花。

ナナカマド 11/18 ページ6

私の前にやってきて、目を瞑って手を合わせる君。
月一回、こうやって私のもとにやってきて、君が私に色んな報告をして帰って行くのを楽しみにしてるんだよ。

けれど私は神様じゃないから、手を合わせて念じられても君の言っていることはわからないんだ。
だから君がボソッと言う言葉が少しだけ楽しみで、それが君が生きる喜びとなるようなことならたまらなく嬉しいんだよ。

目を瞑って私に一生懸命話しかけてくれている君を見ているだけで、心がポカポカするような感覚になる。
こういうの、なんていうんだろうね。

“この時間がずっと続けばいい”

そんな叶いもしないことを毎回願ってしまうけれど、それはやっぱり不可能で。
今日君が立ち上がった時、君の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「会い、たい…。」

今まで君はそんなこと１回だって言ったことなかったのに、どうしたの…？
そんなこと、言わないでよ。

私だって出来ることなら君の前に現れたい。
君に会いに行きたい。
君と今まであったことをいっぱいいっぱい、話したい。

泣けるはずもないのに、泣きたくなった。
声も出ないのに、
“私はここだよ”って、“気付いて”って、“愛してる”って叫びたくなった。

君が遠ざかっていく。
私は、現実の世界で生きるあなたが幸せになることを祈ってる。
いつまでもきっと、あなたを見守り続ける。



ナナカマド／私はあなたを見守る

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