16.胸騒ぎ(3) ページ17
『新田ちゃんごめん。棘をよろしく!』
「シャケ!!」
「了解っす!!」
『天ノ羽衣"翔"』
私は棘との任務を早々に片付け、キラキラと光る羽衣を身に纏い、恵のいるであろう西東京市へと飛び立った。
『急がなきゃ…』
自分に言い聞かせながら空を翔る。
胸騒ぎは増すばかりだった。
***
伏黒side
俺は平等に人を助けない。虎杖とは違う。
だから、一瞬戸惑った。
「じゃあ、なんで俺は助けたんだよ!!」
適当な返しが思いつかなかった。
その時、釘崎の何か叫んでいる声が聞こえたと思ったら…
_________消えた。
「釘…崎?」
バカな!!何かあれば玉犬が反応するは…ず……
っ?!!
玉犬は無惨にも壁に練り込まれていた。
直感でやばいと思った。
考えるより先にそう感じた。
なのに、それでも、、俺たちは遅かった。
ズゥンッ
気がつけばソイツは、俺たちの背後に立っていた。
ソイツは、絶対戦ってはいけない相手。
特級だった…
その後は思い出したくもないぐらい、必死だった。
…
『…恵、これはどうゆう事なの?』
漸く領域の外に出て玉犬(黒)が合図を送ったと同時に、今にも人を殺しそうな目でこちらを見ている…Aさんが立っていた。
「は、羽衣さんっ?!!」
『伊地知くん、電話、持ってないの?』
「そ、それは……」
伊地知さんは恐怖からガタガタ震え出した。丁寧な言葉とは裏腹に、ものすごく声は冷たかった。肩にかかる七色の衣が、今は美しいとは思えない。それすら氷のように見えた。
『恵。今何が起きてるか説明しなさい』
「今、虎杖が中にいます。中には特級と思われる呪霊が…っ!!」
バチンッ
Aさんの手のひらが物凄いスピードで俺の頬に当たる。
痛い。でも、心がそれ以上に痛かった。
Aさんは何も言わない。
虎杖の事も聞かない。それでも全て察していた。
それが今はとても、こわい。
『伊地知くん、誰に言われたの?……いや、今はそれどころじゃない。2人を連れてここから早く去りなさい』
「わ、わっ、わかりましたっ!!さぁ早く釘崎さん、伏黒君、車へ…」
「俺は残ります!!俺には、責任が…」
俺が生かして欲しいと願った。虎杖を助けてくれと頼んだ。
『………そうね。しっかりその目に焼きつけなさい。貴方のその責任という言葉の甘さを』
俺は何も言えなかった。
釘崎も、伊地知さんもそれ以上なにも言わずに車に乗り込み、走り去っていった。
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作者名:yoku | 作成日時:2022年6月26日 16時