優しさをください。23 ページ33
手を伸ばして、目の前にある扉を押す。すると、からんからん、と軽快な音が響く。おずおずと中を覗き込めば、カウンターに腕を組んで体を預けている安室さんと、カウンター内にセミロングの女の人が立っていた。
その光景を見て、あ、と思う。
もしかして、邪魔をしてしまっただろうかと思い、すすす……、と体を後退させていくと、慌てたように安室さんに声をかけられた。
安「ちょ、ちょっ！？どうして出て行こうとしてるんですか！？」
『えっ、あ……、えっと……』
安「いいから、中に入って来てください。あ、飲み物で用意しますから！」
『えっ、でも私、お金持ってないですし……』
安「奢りますから！」
なぜか必死に呼びかけかけてくる安室さんに疑問を持ちながらも、そこまでいうのならと思い、外に逃がしていた体をもう一度店の中に戻す。それにほっとしたように息をついた安室さんを見つめながら、私は首を傾げた。
？「あなたが安室さんを夢中にさせてる女の子なんですね！」
『え？』
安「ちょっと、梓さん！？何を言って……」
梓「あ、私、梓っていいます。可愛いですね〜、いいですね〜、青春ですね〜」
わけのわからないことを言いつつ、梓と名乗った女性は私と安室さんを交互に見ながらなぜかテンションがマックス。……なんなのだろう。
てくてくと、カウンター席の方に歩いて来たけれど、どうすればいいのかわからなくなって立ち止まってしまう。
そんな私を見て、私の状況に気づいたのか、安室さんがちょいちょいと私を手招きする。私は素直に安室さんのそばにてくてくと寄っていく。
すっと安室さんが自分の隣にある椅子を示してくれたため、私は大人しくそれに従った。
安「じゃあ、ココアでも入れましょうか？」
『……ほんとに、いいんですか？』
安「もちろん。他に飲みたいものがあれば、ポアロにあるものであればご用意できますが……」
『……安室さんが作ってくれた、ココアが飲みたいです。甘い、ミルクの入ったやつ』
安「……………………」
『安室さん？』
安「……っ！あ、はい。わかりました。すぐに作りますね。待っていてください」
ハッとしたようにして、安室さんはぱたぱたとカウンター内に入っていく。梓さんはそんな安室さんを見て、にまにまと笑っている。その光景を見て、私は首を傾げた。
『……安室さんと梓さんは、恋人同士ではないんですか？』
私のその一言に、安室さんも梓さんも、私を見てその目を見開いた。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
