優しさをください。12 ページ14
安「……とても、大丈夫そうには見えませんでしたが……」
『……私も、逆の立場なら同じことを言います……』
安「とにかく、一度リビングに戻りましょう」
そう言って、安室さんは私を優しく抱き上げた。
多分これは、私の怪我を心配してくれたのと、私が逃げないようにするための両方だと思う。けれど、今はそれがありがたい。この人の腕の中はとても安心するから。
安室さんは、ゆっくりと私をソファの上に卸してくれる。先程暴れたせいで、全身から再び血が滲んでいる。
ものすごく自業自得なんだけれど、痛みが半端ではない。
そんな私の表情を見て、安室さんはしばらく何か考えるようにした後、立ち上がり、手に何か箱を持って戻ってきた。
それを見て、首をかしげる。
安「とりあえず、僕でもできそうな治療を先にしましょう。少し、肌に触れることになりますが、大丈夫ですか？」
『え、あ、あの……』
安「嫌なら無理にとは言いません。ですが、そのままにしておくと、蘭さんに頼む時、ちょっと大変かもしれないですよ」
『……いえ、あの…、私、ここまで本当に迷惑ばかりかけてますし、これ以上……は…、あの…』
安「ああ、それは気になさらないでください。本当に大丈夫ですよ」
『……で、では、あの…お願いしても、いいですか……？』
安「もちろんです。では、先に包帯などを取っていくので、痛かったら遠慮なく言ってくれますか？あなたが言ってくれないと、僕もわかりませんので」
『はい…わかりました。……あ、の……』
安「どうしました？」
『……すごく無茶なことを言いますよ？』
安「叶えられることならできるだけ叶えますよ」
『……お風呂に、入りたいです』
安「……それは、流石に認められません……」
『そうですよね……あの、じゃあ、濡らしたタオルとか、貸していただいてもいいですか…？』
私の言葉に、安室さんは不思議そうに目をパチパチとさせている。
…言葉にするのもちょっと辛いんだけど、でも言わないと多分伝わらない。そう思って、私は思い切って言葉にした。
『……あの、夜のことが、思い出されて…、気持ち悪くて……どうにかしたくて……あの…、だから……』
必死に言葉を言い募っていると、安室さんの瞳がどんどんと見開かれていく。そして、ふっとかすかに笑った気配がして、私はおこがましいことを申し出たと思って恥ずかしくなった。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
