お説教の時間 。 ページ15
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「ーーーそれで?どうして俺に黙って真夜中に太宰の野郎に着いて行くなんて真似したのか、懇切丁寧に説明してもらおうかァ?」
『...中原さん、目が
結局。Aが拠点へと戻ったのは、日付を超えた頃。
深夜だが、ぱらぱらと疎らに構成員達がまだ働いていて。彼等を横目に自室に戻ると、中原がAの自室に置かれた簡素なソファに腰掛け待ち構えていた。
____非常に憤慨した様子で。
『折口さんと話してたら急に太宰さんが来て、私に会わせたい人がいる、って。』
「...会わせたい人?
____あァ、彼奴か。」
『中原さんも知ってるんですか?』
ーーー織田作さん、と呟くと中原は眉を寄せながら首を横に振った。
「実際に会った事はねェが、噂だけは聞いたことがある。“人を殺さない”マフィアだそうだ。」
なるほど。
奇妙な男だとは思っていたが、矢張りその考えは当たりだったようだ。
マフィアに入っていると云うのに、人を殺さないなど、なんて甘い考えを持っているのだろうか。
それは、彼が“人を殺せない程、力が無い”のか、“力はあるが、人殺しの為に敢えて使わない”のか。
___どうにも、Aには前者とは思えない気がした。何故か、と聞かれれば根拠はないのだが。
『...中原さんに黙ってあの変人に着いて行ったのは悪いとは思いますけど、それ以外にも中原さん、私に何か用があるんですよね』
「なんでそう思う?」
『だってわざわざ私の部屋に来る必要は無いでしょ、お説教なら中原さんが私を呼び出すのが普通だし。』
「.....本当手前は頭が良く回るな、」
それは以前にも云われた気がする。
中原はため息を吐きながら、ソファから立ち上がると右手に持っていた小さな紙袋をAへと投げ渡した。
『.....なんですか、これ』
茶色の紙袋。無地のもので、そこまで重くはない。
右手で上へ持ち上げながら、怪訝そうに尋ねると、中原は「開けてみろ、」と一言だけ云った。
云われた通りに紙袋を開けてみると、其処には_____
『ーーー手袋?』
黒一色の手袋だった。しかも片方だけ。
一体それが何を意味するのか、全く分からないAは、説明しろと云った視線で中原を見上げた。
『私なんかに手袋くれても、何の意味もないですけど。
はめた瞬間、ただの布切れ同然と化しますよ。』
「嗚呼、分かってる。良いから試しに左手にはめてみろ。」
何の説明もないまま、Aは半信半疑で手袋をはめた。
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y(プロフ) - まだ、見てます。こんなに端麗な日本語で綴られた物語を書ける方、中々いないです。最高の作品です。どうか、いつか続きが読めることを願っています (2月26日 19時) (レス) @page38 id: 02477a501f (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 何周も見てるけどやっぱ飽きないし面白いです!!更新待ってます!!!!!() (2022年11月15日 14時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
おみず - お、おわり……??続きがまた見たいです……この先でも活躍するんだろう夢主ちゃん見たいです……!!! (2022年11月10日 23時) (レス) @page38 id: 0c3a3b3097 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ニサナ - 更新待ってます!! (2022年3月14日 22時) (レス) @page38 id: 1c42f0d3fc (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、待ってめっちゃ好き。続き気になる…!更新待ってます、頑張ってください!! (2022年2月1日 17時) (レス) @page38 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪原 ゆずき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2016年8月4日 13時