俺はアーヤの心の友だから。 (ページ19)

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翼side

菜「あのね、」
武田が言いかけて、ため息をつく。
翼「アーヤのこと？」
武田は頷く。
アーヤの六年生の時のことって、俺知らないもん。
頭に浮かんだのは、あいつらの顔。
二ヒヒと笑っていて、「お前はアーヤの昔を知らないんだな。」と言いたそうな顔。
…ムカつく。
アーヤの昔を知らないからって何だ。
今のアーヤを知っていればいい。
菜「はぁ。私たちね、中学に入った時から若武と会うまで、犬猿の仲だったんだ。」
俺は、思わずアーヤが犬で、武田が猿という想像をしてしまった。
いけない、いけない。
菜「どちらかというと、私たちの方からいじめてた感じ。」
え、こいつにいじめられてたの、アーヤ。
佐田からだけだと、ばっかり。
菜「ＫＺとばっかつるんでるやつが生意気だったから。でも、暴力はしてない。悪かったと思ってるよ。」
そうなんだ。
でも、自ら罪を白状するなんて。
菜「若武がさ、私に一目ぼれしたから、彩に協力を頼んだんだって。たぶん彩、若武に協力するの、嫌だったんだと思う。」
確かに。
嫌な人に喋りかけないといけないし。
菜「私は、結構大きいグループのボスだったんだけど、入院することになったからグループを抜けたんだ。そしたら、マリン、あ、佐田真理子がなんでもなかったかのように引き継いでさ、意思も引き継いじゃったみたいで、彩に意地悪を続けてたんだよね。私、何度もマリンたちを止めたのに…。」
そうだったんだ…。
佐田、許せないね。
武田はもっとため息をついた。
菜「もっと大変なのが、二年になってから、学校裏サイトでたたくようになったんだ。スマホ持ってない彩に気づかれないように。だから、彩はいじめされてるのを知らない。」
それ、やばいじゃん。
菜「これはまだ、心は保てる。気づかない限り。でも、二年前の昨日、彩には悲しい過去があったんだ。」
あ、それって、アーヤが朝に泣いてた日だ…。
菜「そのことで、もう彩の心が持たなくなってるの。」
翼「昨日の朝、教室の机でうつ伏せで泣いてた。」
武田はそうかと頷く。
菜「日に日にひどくなってるんだね。来年にはその日、学校こないかも。で、もうすぐ、限界が来るから、彩も誰かに話すと思う。話すなら、ＫＺメンバーの誰か。」
きた、この話が。
菜「その中だと、ツバサの可能性が非常に高い。それか…七鬼君。」
え？七鬼？
もうあいつ、ＫＺ退団したよ。
でも、クラスは一緒。
あんまし、ガッコ来ないけど。
翼「なんで、七鬼も？」

続き行きます！