気付けば俺の目は蝶を追っていた・番外編コーナー (ページ12)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:4,170 hit

ー①しのぶ視点ページ12

『従軍も…視野に入れたいと思います』
「…はい？」
『俺は一般人より過酷な環境で生きていけるし、別に左手くらい…』
「ダメです」
『じゃ俺はどう…』
「とにかく、許可できません」
『しのぶさん…』
「この話はもう終わりです、私は仕事に戻るので」

はぁ…やってしまった
つい…強気で言ってしまった

Aくんが悩んでいるには気づいています

未来を自分で考える必要がない立場だった彼がいきなり自分だけではなく私や屋敷の子とのことも考え始めて、重圧に負けそうなのは知ってました

それでも側から離れ、ましてや命をかけるような仕事を…どうしても許せなかった

誇りのあることをしたいのは理解できます

「あんな思いはもうしたくないのです…それを理解してほしい」

寝ましょう

悩んでも解決はしません

-悪夢-

悪い夢だった
手でやっと掴んだものがまだこぼれ落ちて
必死にかき集めてもまだ落ちてゆく
人生で初めて出来た大切に思う異性

まだ昔のように傷だらけ血まみれて目の前に倒れている

いくら名前を呼んでも返事はこない

自分を安心させれる唯一の声が二度と自分に耳には届けることがない

「Aくん…！」

知ってる天井
ここは私の部屋

「夢…ですか？」

まだこの夢、もう何度も見ているこの夢

夜に帰ってくるはずですが…まだその姿が見えません

結局、昔も今も変わらず
私はその声をその姿を確認できないと安心出来ません