�機�19 ページ20
「後片付けはあのトランプ兵に任せて、お前はさっさと風呂入って寝ろ」
「え、でも、」
「いいから。スキャター、そいつを部屋まで連れていけ」
「あ、はーいっ」
ささ、行きましょ行きましょ、とスキャターに背を押され広間を出るあいつの姿を見送り、はぁ、と天井を見上げ脱力する。
「なんで勝手に僕が片付け係に任命されてるわけ？」
「俺をからかった罰だばーか」
さっさと片付けろと言わんばかりに、シッシと手で追い払い、ドカリとソファに腰かけた。
「…彼女、泣いていたみたいだね」
その横にマルフィが座る。有難いことにコーヒー付きだ。それを受け取り一口すする。苦い。でもうめぇ。
「そりゃあな、足出しちまったしな」
「はぁ！？あんた、あんなもん出したんかいな！！」
ファージャの後からも、うわぁ、最低、なんて言葉をレディースから浴びせられる。
「お前らなぁ、そう言うが、実際寝起きに同じことしてみろ。いつもの癖ってのが出ちまう。っていうか、お前らが止めておけばよかった話だろ！揃いも揃って人間の恐怖の感情に飢えてんのか知らねぇけどよ」
それはすまなかったと思っているよ、とマルフィ。まったくだ。面倒なことしやがって。
「それで、どう彼女を泣き止ませたんだ？」
ホックの言葉に先程の事を思い出す。
“悪かった”
あんな風に、人間に謝るなんて。しかもすんなりと。人間界へ来て4年が経ち、確かに、人間が喜ぶような行動、言動は身についたと思う。それこそ虜にさせちまうくらいにはな。だが、あんな簡単に悪いという感情が起こったのは初めてだ。こいつらになら兎も角、人間相手にだ。人間と関わりすぎて、人間臭くなっちまったのか？
スンと自分の服を匂う。あいつが横に座っていたからか、それとも触れたからか。あの人間の匂いが潮の香りにふんわりと混ざっていた。
「エイトフット？」
「…ッハ、俺は口八丁手八丁、アースラ様の一番の手下だぜ？舐めてもらっちゃァ困る」
ニヤリと笑えば、そうだったな、とホック。
あぁ、そうだ。俺は器用なんだ。なんでも出来る。人間一人、泣かすことも泣き止ますことも容易いこと。人間臭くなったわけではなく、これが俺の実力だ。
だがまぁ、
人間臭くなるのも、たまにはいいもんだ。
そう思う自分が、頭の傍ら、顔を出しているのも事実だった。
人間界ってのはこうも毒されるもんかねぇ。
手元にあるコーヒーをグイっと飲み干す。
あぁ、やっぱり苦い。だが上手い。
癖になっちまうなァ。
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和花(プロフ) - とまとさん» とまと様。この度は嬉しいコメントをありがとうございます！とても励みになります。少しでも今以上に楽しんでいただける様、たくさんお話を書いていこうと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました！ (2019年8月18日 11時) (
レス) id: e09d74f291 (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - コメント失礼します！最近ヴィランズの沼にハマって和花様のこの作品を見つけました！とっても面白いです！！毎回更新楽しみにしています…！ (2019年8月18日 0時) (レス) id: 6293dcd1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和花 | 作成日時：2019年7月22日 15時
