177 秘宝 動いた歯車 ページ44
話しが終った時、辺りは真っ暗闇だった。
「…そんな契約が交わされていたなんて…」
Aは呆然とし、アバーフォーズの語った過去を脳内で反芻させていた。
「ああわしも理不尽だとは思った、だが血の契約はどうしようも出来ない。
これまで命があった事に感謝すべきだな。
それに大方逃げ回って、もう行く宛がないから此処に戻って来たんだろう？
無謀だがいい決断だ、ここなら二三日はバレずに済む、二階の客間を使え。」
「そんな、ご厚意に甘える訳には…」
「ならマレリーヌの為だと思ってくれ。
君に護衛も告げずに夜のホグズミードに放り出したと聞けば、奴は死んでいようと呪いをかけてくる。」
「ふっ、死んでもだなんてっ、おかしいっ」
Aは久々に声を上げて笑った、そしてアバーフォースも引きつった顔に笑みが点った。
「君がどうするかは君が決めなさい。
ただ…後悔だけはするなよ。」
相手を見つめ、指を指し示す仕草はあのダンブルドア先生そっくりだと、Aは思っていたが声には出さなかった。
Aは二階に上がり、埃の溜まった部屋の中、埃だけを払って日焼けして手入れの入っていないベッドに身を投げた。
「…ねえ、マグス、私どうしようかしら…」
ずっと黙っていたしもべに声をかけたA。
蜘蛛のマグスはローブの間からひょっこりと出て来たと思えば、主を見上げ同情の視線をよこして来た。
「…まあどうするかはお前次第だろ、A。」
「分かってるわ、」
でも今だけはゆっくり眠らせて、そう小声で告げたAはすうっとそのまま眠りについた。
警戒線も防御魔法も張らずに寝入ってしまった主に、マグスは呆れていた。
するとトントンと、誰かが階段を上がってくる。
体格と足音からして男だろうと思ったマグスは、その人物をみて驚いた。
男はベッドの上でこちらを見ている蜘蛛を訝しんだ後、ししっと追い払い、ベッドの上に横たわるAを見つめた。
月灯りが差し込み、鮮やかなプラチナブロンドがキラリと光る。
何処かの童話の姫君を想像させるほど、穏やかな寝顔のAに、男は同情とも愛しさともつかない視線を注いでいた。
「…A、すまない、」
愛おしげな声と壊れ物にでも触れる様な優しい手つきでAの頬を撫でた男。
そのあと額に一つキスを落としてから、そっとAを抱き上げ、再び暗闇の中に男は消えた。
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アサノ(プロフ) - ゆずさん» 出てくる人間の性格は結構こだわっているので、嬉しいです^ - ^楽しみして貰えるとは、ありがとうございます(^^) (2017年9月18日 20時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 次回も楽しみにしてます！内容や登場人物が薄っぺらくなく、とても読み応えがあって面白いです！これからも頑張ってください！ (2017年9月18日 19時) (レス) id: 8be8c5e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - みゆきさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！最後までお付き合いして頂けると嬉しいです^ - ^ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 完全オリジナルのストーリー面白いです！すごく読みごたえがあります!!これからも頑張ってください(*´-`) (2017年9月17日 18時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - はなさん» ありがとうございます^ - ^楽しみしていただけると励みになります。こちらこそ宜しくお願いします(^^) (2017年9月16日 23時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月16日 13時
