167 贖罪 ページ33
Aの目は真剣だった。
老婆はそれを受け止め、長い溜め息と共に口を開いた。
「悪かったね、あんたは馬鹿でも間抜けでもなかった。
私と同じ不器用な女だったんだね…」
マレリーヌの目は綺麗な空色から、深い海の色に変わった様な気がした。
「その杖は、私が昔犯した過ちの象徴さ。」
「やはり、ヴォルデモート卿と約束を交わしたんですね。」
Aの躊躇ない物言いに、老婆の頭がパッと上がった。
「何処で知ったんだい？」
「先日スネイプ校長が、直々に守護霊を通して伝えてくれました。」
「そうかい、と言うことはアンタの両親が喋ったのか、あの男がスネイプに漏らしたのか、どっちかだね。」
ふうっと息をついたマレリーヌは、Aの目を正面から見つめていた。
「ああそうさ、それは私が昔若い頃、あのトム、いやリドルと結んだ契約の証さ。」
「リドル？」
「ああ…あのヴォルデモート卿の本当の名前はトム・マールヴォロ・リドル 。
綴りを入れ替えてヴォルデモート卿と後に名前を改めたのさ。
彼奴は純血を重んじているように視えるが、実際にはマグルが嫌いなのさ。
奴の父親はマグルだったからね、奴は自分の母親を大切にしない父親を憎んだ。
その所為で純血主義でなくても、マグルが憎いと言う理由で純血思想だと回りに思われたのさ。
だがマグル嫌いなだけであって、別に純血を重んじているわけじゃない。
ただ選ばれるべき者がいる、それしか考えていないのさ…」
Aの頭の中でニコライ氏との会話を思い出していた。
マグル界にも優性思想と言って、生きるべきではない人間が居ると考える輩はいる。
それが原因で国を挙げての戦争にまでなった記録がある程だ。
だがどちらにしても解釈まみれの祖母のいい訳に、Aは顔をしかめた。
「結局私はどうすればいいのです。」
「その杖を湖の奥深くに鎮めてくれるだけでいい、お前も見ただろう？
あの湖はただの湖じゃない。
一族の者以外が入ればただでは済まない仕掛けに「いい加減にして下さい。」
Aは低い声で老婆の声を遮り、ほおからは涙が伝った。
「あそこに鎮めるなんて冗談じゃない。
あそこにはリアンも両親も眠っている。
そんな唯一の安息地にこんな物騒なもの置ける訳がない。」
Aは言うが早いか、杖に向かって粉砕魔法を唱えようとした、
「あああ馬鹿っ！！！！」
がなり立てたマレリーヌは皺を引きつらせ、今にも肖像画の向こうから出てきそうな勢いで怒鳴った。
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アサノ(プロフ) - ゆずさん» 出てくる人間の性格は結構こだわっているので、嬉しいです^ - ^楽しみして貰えるとは、ありがとうございます(^^) (2017年9月18日 20時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 次回も楽しみにしてます！内容や登場人物が薄っぺらくなく、とても読み応えがあって面白いです！これからも頑張ってください！ (2017年9月18日 19時) (レス) id: 8be8c5e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - みゆきさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！最後までお付き合いして頂けると嬉しいです^ - ^ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 完全オリジナルのストーリー面白いです！すごく読みごたえがあります!!これからも頑張ってください(*´-`) (2017年9月17日 18時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - はなさん» ありがとうございます^ - ^楽しみしていただけると励みになります。こちらこそ宜しくお願いします(^^) (2017年9月16日 23時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月16日 13時
