166 贖罪 ページ32
Aが地下二階に降り立った時、おあつらえ向きに天井が高くなっていた。
すうっと元の姿に戻ったAに、まるで謀ったかの様にマグスが降りて来た。
［この奥だ。
お前の事を呼んでる肖像画のババアが居る。］
肖像画のババアと聞いて、Aはぱっと中に駆け込んだ。
するとそこは小さな倉庫になっていて、人一りがぎりぎりゆったり出来る程のスペースしかなく、積み上げられた本や薬草、参考書やうす気味悪い髑髏が陳列され、それら雑多な者の中に探し求めていた人がいた。
「マレリーヌおばさま。」
Aが声をかけた時、目を閉じ居てた老婆はすっと目を見開いた。
肖像画の中の彼女はあのときのまま若々しかったが、額縁に張り付いた蜘蛛の糸から、随分前から此処に居る事が分かった。
「A…」
「おばあさま、探しましたよ。」
「ふん探す気なんてなかったくせに良く言う。」
「おばあさま、ヴォルデモート卿について聞きたいのです。」
「それだけかい？」
「いいえ、貴女が私にあの時ついた嘘の理由も。」
「ということはリアンが喋ったね。」
「はい、おばあさまがそういうと言う事は、私一人だけがずっと知らされていなかった様ですね。
私の中にある吸血鬼の血など、一年前のときにはもう問題ではなかった。
本当の問題はこの杖にあったんですよね。」
すっと懐から取り出した、白樺の木で出来た杖をAは老婆の前に差し出した。
「ボージン・アンド・バークスで再会したあなたは、この杖を持つ意味は、吸血鬼の血を抑える為だと言っていた。
けれどリアンの話が本当なら、貴女の話は根本から嘘になる。
仮に嘘だとしても貴女の話はおかしい。
ドラコの血が、私の中の吸血鬼の血を抑えてくれている筈なのに、何故今更この杖を持つ必要があるのか。
それに杖が勘違いを起こして私に添い、その性質がたまたま吸血鬼の血を抑えてくれるなんて…あまりにも話しが出来すぎている。
あの時混乱していて、貴女の話しのおかしな点に気付なかった自分に非がありますが、
貴女はもっと悪い。」
ぎらりとAは曽祖母を睨みつけ、マレリーヌは黙って受け止めていた。
Aは込み上げてくる涙を堪えた。
「肝心な事を貴女が黙っていた所為で、私だけじゃなくて、ドラコや親友まで傷つける原因になりました。
今この場で答えて下さい、何故この杖を手放す必要があるのです？」
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アサノ(プロフ) - ゆずさん» 出てくる人間の性格は結構こだわっているので、嬉しいです^ - ^楽しみして貰えるとは、ありがとうございます(^^) (2017年9月18日 20時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 次回も楽しみにしてます！内容や登場人物が薄っぺらくなく、とても読み応えがあって面白いです！これからも頑張ってください！ (2017年9月18日 19時) (レス) id: 8be8c5e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - みゆきさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！最後までお付き合いして頂けると嬉しいです^ - ^ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 完全オリジナルのストーリー面白いです！すごく読みごたえがあります!!これからも頑張ってください(*´-`) (2017年9月17日 18時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - はなさん» ありがとうございます^ - ^楽しみしていただけると励みになります。こちらこそ宜しくお願いします(^^) (2017年9月16日 23時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月16日 13時
