165 贖罪 ページ31
凡そ一分もしないうちにマグスを筆頭に黒い帯が、真っすぐ屋敷の奥に向かって進んで行き、やがて消えた。
「(まるでハーメルンの笛吹き男みたい…)」
イギリスの童話に出てくるあの笛吹き男を思い出し、Aは溜め息を吐いた。
「(マグスに任せる自然と蜘蛛がよって来ちゃうんだもの…それが嫌だから任せないでいるのに…)」
蜘蛛の中でもハグリットが森の中で飼っているアラゴグとは違い、マグスは普通の蜘蛛だ。
ところが彼自身、人間にもある様な、蜘蛛を引きつけてしまうカリスマ性とでも言うべきなのか。
「(見事なフェロモン効果…)」
兎に角、一度小瓶の外から出すと大変な事になるのだ。
Aはそれが嫌で、どんな緊急事態でもマグスを出さないできてはいたが。
リアンを殺した相手は、Aの居場所が分かっているのだ。
だがA自身もやられっぱなしでは性に合わない。
自身を守る為にも、今は一分一秒が惜しかった。
「(あのドビーとか言う屋敷しもべ妖精もグルだとしたら、早くハリー達と合流しなきゃ、)」
Aは眼鏡の奥に見えた緑色の目を思い出した後、姿現しをされる直後に過ったあのプラチナブロンドの彼を思い出していた。
「(ドラコ…帰ったらうんと問いつめてやらなきゃ…)」
Aは自嘲的な笑みをこぼしていると、一匹の蜘蛛がAの元に降りて来た。
［二階へお越し下さいと、マグス様が。］
「二階？馬鹿言わないで、
だって何もないじゃない。」
Aは崩れ去った天井から覗く、さっぱりとした夜明け前の空を見上げた。
すると蜘蛛が焦った。
［申し訳ありません、地下二階でした。］
「しっかりしてよね。」
Aは苦笑した後掌を差し伸ばし、報告係の蜘蛛を肩に乗せた。
ルーモスと唱え、一歩一歩慎重に歩いて行く、
地下の通路に繋がるらしい階段を見つけたA、ところが半壊したそこはとてもじゃないが人間では通れない。
「全く…」
Aは杖を懐にしまい素早く黒猫に変身して、するりと壊れている柱と床の間をすり抜けて行った、
〈ついて来てる？〉
［はいなんとか、］
自信なさげな蜘蛛の声が耳の近くで、鮮明に聞こえたAは、トントンと階段を下りて行く。
猫の様に夜行性の動物に取って、夜は正に絶好の独壇場だった。
色までは判別できなくても、人間の視力では直ぐには判別できない細かい瓦礫も、ひょいひょいと避けて行く。
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アサノ(プロフ) - ゆずさん» 出てくる人間の性格は結構こだわっているので、嬉しいです^ - ^楽しみして貰えるとは、ありがとうございます(^^) (2017年9月18日 20時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 次回も楽しみにしてます！内容や登場人物が薄っぺらくなく、とても読み応えがあって面白いです！これからも頑張ってください！ (2017年9月18日 19時) (レス) id: 8be8c5e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - みゆきさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！最後までお付き合いして頂けると嬉しいです^ - ^ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 完全オリジナルのストーリー面白いです！すごく読みごたえがあります!!これからも頑張ってください(*´-`) (2017年9月17日 18時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - はなさん» ありがとうございます^ - ^楽しみしていただけると励みになります。こちらこそ宜しくお願いします(^^) (2017年9月16日 23時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月16日 13時
