153 秘宝 忠告 ページ19
Aが監督生特有のバスタブから出てようとした時、ふと扉の前で気配を感じた。
するとそこには一匹の牝鹿が佇んでいた。
白い靄を発し、こちらを見つめ、ゆっくりと歩み寄ってくる牝鹿に、Aは首をかしげた。
「(守護霊？…)」
対ディメンター用の呪文を思い出したAは、そっと牝鹿に触れた。
ふわりと優しい感触がAを包んだ。
そしてその影からほんのりと薬草の匂いも。
「………スネイプ教授、？」
Aはふと頭に浮かんだ人物の名を呼ぶと、牝鹿は首を垂れ、どこからともなく声を発した。
「お久しぶりですなあ、Msマロニエ。」
言葉の端々に隠れる陰険深さは消えず、Aは何の御用ですかと端的に聞いた。
「ご忠告を申し上げようと思いまして、
クラシスの末裔に。」
暗く憎悪と嫉妬しか見い出せない目を思い出し、Aはあのカローに追いつめられた時の寒気さを感じていた。
「わざわざ入浴中に尋ねてくると思えば、そんな事ですか。」
呆れますね、と言いたげにAは盛大に溜め息を吐き、見目麗しい守護霊とは似ても似つかない声に尋ねた。
「で＿＿忠告とは？」
「闇の帝王はいまさら闇祓いの一門など眼中にないが、その一門が隠し持っているものを狙っている。」
「隠し持っているもの…？」
Aはさっぱり想像がつかなかったが、スネイプは構わず続けた、
「血の契約をご存知ですかな？」
「血の契約？」
「そう、血の契約。
闇の魔術に通ずるものだけが知っている、呪いだ。」
「その血の契約がなんですって？」
「血の契約は半永久的に、相手を縛り付ける事が出来る呪いだ。
血の契約はものを媒体に、互いの血を混ぜ、契約事項を互いに交わし、どちらが一方が死ぬまでその契約は永続し続けるのだ。」
スネイプの告白にAは信じられない思いでいた。
「それはつまり、私たちの中にヴォルデモート卿と、約束を交わした人がいる…？」
「ああ、だがその人物は既に死んでいる。」
「？、なら何故それをヴォルデモート卿は狙うのです？」
「恥、だからだ。」
「恥？」
「ああ、女と交わした約束を闇の帝王は嫌っている。」
ここまで言われたら結論は一つだった。
「つまり約束の象徴であるその媒体を、恥とみなし狙っている、というわけですね？」
コクリと一つ頷いた牝鹿は、再び首を垂れてAの周りを一周した後、ふわりと靄のように霞んで消えた。
Aの脳裏にゆっくりとスネイプの言葉が反芻していた。
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アサノ(プロフ) - ゆずさん» 出てくる人間の性格は結構こだわっているので、嬉しいです^ - ^楽しみして貰えるとは、ありがとうございます(^^) (2017年9月18日 20時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 次回も楽しみにしてます！内容や登場人物が薄っぺらくなく、とても読み応えがあって面白いです！これからも頑張ってください！ (2017年9月18日 19時) (レス) id: 8be8c5e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - みゆきさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます！最後までお付き合いして頂けると嬉しいです^ - ^ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 完全オリジナルのストーリー面白いです！すごく読みごたえがあります!!これからも頑張ってください(*´-`) (2017年9月17日 18時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - はなさん» ありがとうございます^ - ^楽しみしていただけると励みになります。こちらこそ宜しくお願いします(^^) (2017年9月16日 23時) (レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月16日 13時
