42 秘密 ページ45
「ドラコ…」
「やあ、気分はどうだ？
あいつらが居てはゆっくり話も出来ないからな。
あ、体は起こさなくていい。」
横になった状態のAに良しといい、ドラコは血の気のない手を握りしめて居た。
「こんな唐突なこと言えば、君は戸惑うだろうけど、もう今日しか言うチャンスがないんだ。」
真剣に見つめてくる灰色の目。
どくどくと、煩い心臓にAは気がつかないフリをする。
「僕には昔幼馴染の女の子がいた。
けどその子は突然居なくなった。
僕の何がいけなかったのか今は分からない。
でもその髪と目で分かった、＿＿君はあの時の彼女だろう？」
無自覚に的確に突かれたその一言に、Aは表情を無にした。
ドラコの質問にはいと答えれば、黙っていた理由を聞かれるし、いいやと答えれば、金輪際彼はこんな風には触れてくれないだろう。
Aはしばらく黙って居たが、ドラコが先に席を立った。
「わかった、答えられないと言うのが君の答えだな。
さよなら。」
くるっと背を向けたドラコに、ホッとしたA。
だが、自分の気持ちというのは時にムカつくくらい忠実な時がある。
「ねえ、幼馴染いう彼女について、教えてくれないかしら。」
上から見上げる形の上目遣いに、くらっと来たドラコだが、やがて観念したように打ち明けた。
「言った通り僕の幼馴染さ。
君と同じ、鳶色の髪に青い目、ほおのそばかすが特徴的な人で僕がまだ７つの時、今から５年前に消えた女の子さ。」
無理矢理にでも聞かせたことに後悔したAだったが、ドラコはそれ以上にもっと大切な事を言ってのけた。
「彼女はきっとただの幼馴染としか思ってないだろうけど、僕にとっては大切な女性さ。」
細められた灰色の目を切なそうに見つめた彼女は、ようやく絞り出した声でこう返した。
「そう、出会えるといいわね。いつか。」
そんな泣きそうな顔をしないで。
どちらのセリフかはわからないが、切なそうな声だけが辺りに響いた。
翌日、Aの髪と目はすっかり元に戻って居た。
再び訪れた二度目の夏。
Aはかなり多くの人に見送ってもらい、キングス・クロス駅を発った。
彼女を見送る群衆の背後から、やはり彼女を見つめる少年がいたが、Aは敢えて気づかないフリをした。
そうでもしなければ、これ以上彼を傷つける事は目に見えているからだ。
「ごめんなさい…」
Aはそっと口元で呟いて、後ろ髪を引かれる思いでその場を発った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アサノ(プロフ) - みゆきさん» ありがとうございます！拙い作品ですが、最後までよろしくおねがいします(￣^￣)ゞ (2017年9月2日 7時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - お話とても面白いです！続きも楽しみにしてます!頑張ってください！ (2017年9月2日 0時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アサノ | 作成日時：2017年8月31日 19時
