40 秘密 ページ43
校長室の前まで無事に来たはいいが、Aは迷ってしまった。
「(そういえば合い言葉を知らなかったわ…)」
間抜け過ぎる失態に、頭痛が襲ったAだったが。
なんとイーグルの彫刻が施されたそれは、ゆっくりと動くではないか。
まるで入って来いと言いたげに。
「(ええい、儘よってね。)」
Aは迷う事無く踏み込んで、二回その部屋の扉をノックすれば、入って来たまえと声を掛けられる。
「夜分遅くにすみま、」
と言いかけたAの口はあんぐりと開いた。
何故ならそこには既に来客がいて、部屋の主と優雅にお茶を飲んでいたからだ。
「これはこれはMsマロニエ。
もう少しで就寝の筈では？何故このような所に？」
「よいセブルス、わしが呼んだのじゃ。」
見え見えの嘘にスネイプは勿論いい顔はしなかったが渋々と言いたげに、その場を離れ立ち去った。
「さて、学校の規範を破ってまで此処に訪れた理由は何かな？」
「ダンブルドア先生にコレを見ていただきたくて…」
「ふむ…」
Aは手汗でややしおれたソレをダンブルドアに見せる。
すると、ダンブルドアの顔も真っ青になった。
「コレは何時届いたのじゃっ」
「今日の昼です、そのバレンタインのドワーフを使って、わざわざやってきました。
おまけにそれを開いたときは何も書かれて居なくて、呪文をかけてその文字を見て…
その明らかにおかしいと思って、」
闇の魔術は感じられないし、とぼそっと伝えたAにダンブルドアは、じいっとみつめてからAを真っすぐ見つめ、どうしたいのかと尋ねて来た。
「私はそれを両親に届けたいと思いましたが、貴方は両親が信じた人です。
あなたにお任せしたいと思います。」
十二歳とは思えないしっかりした答え。
その返事に、うむと頷いたダンブルドアはそれを丁寧に折りたたみ、Aを部屋と返した。
勿論、罰則は無し。
だがこれが大きな間違いだった。
その日の明くる朝、
スリザリンの寮の目の前で、氷のごとく冷たくなって倒れている少女が一人居た。
鳶色の髪を散らし、杖を握ったまま倒れたA。
その彼女の頭上では、ホグワーツの底を抉り取ったという水槽から、燦々と無常にも陽の光が入ってきた。
眠った少女は、それから約四ヶ月も眠り続けることを知らない。
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アサノ(プロフ) - みゆきさん» ありがとうございます！拙い作品ですが、最後までよろしくおねがいします(￣^￣)ゞ (2017年9月2日 7時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - お話とても面白いです！続きも楽しみにしてます!頑張ってください！ (2017年9月2日 0時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年8月31日 19時
