25 秘密 墓参りに ページ28
夏休み。
帰省の為に家に帰って来たAに、Aの梟、カイトがちょうど良く誰かからの手紙を届けた。
「ありがとう。」
受け取ったそれは住所不定で宛名だけで本人に差し出したもの、それはつまり…
「また仕事かしら…」
呆れたようにAは手紙の封を切った。
両親からの手紙とは直ぐに分からなかったが、僅かながら掛けられた気配のある魔法から解除呪文を唱え、浮き上がって来た文字を一読した。
〈Aへ
すまない、今年の夏中に帰省できるか分からなくなった。
その間カイトや他の子達の世話を頼むよ。
後これはお母さんからで、今日中にお墓参りに言って欲しいらしい。
ほんとに一人で全部任せてごめんな。
PS お墓の呪文を掛け直して置いてくれ、丁度切れる頃らしい。
父より〉
謝るくらいなら帰って来てほしいと心の中で毒づいたAは、もらった手紙に
〈燃えよ＿＿＿Incendio〉
と炎上の呪文を唱えた。
灰となった紙を見つめ、Aは一人きりの家を全て掃除し尽くした頃、既に日は傾きかけていた。
「(しまった、急いで行かないと。)」
立ち上がってローブだけを羽織ったAは目的の物を探し当てる。
「(あったわ…)」
色とりどりに飾られた花束に触れ、
「移動せよ＿＿＿Portus」
しゅんっと移動し、Aが目を開けた。
Aが降り立った場所は、人里離れた深い山奥で辺りは他に比べて木々が無く、広い空き地のようになっていた。
Aは息を吸って、解除の合い言葉を詠った。
さあ今宵も陽気に宴を歌おう
地獄の門下に花を添えて
蝙蝠の舌を食べ、ヴィーラの喉を切り裂いて
蜘蛛の足に焚き火を添えて、象牙の櫛を切り刻み
赤毛の女を崇めよ
気味悪い合い言葉、そんな声に伴ってすううっと何かが動く気配と共に地下への扉が続いている。
だがそこには一歩も触れず、ピッとAは自分の指先を噛みちぎって、血を滴らせ、覗いた地下室の中にぽたりと垂らす。
すると現れたのは歪んだ風景に現れたのは広大な湖。
「(全く、実力主義のくせに、血筋には拘るのよね。)」
Aは顔をしかめる。
クラシス家が純血を維持しようとするのは、墓へのトラップ、つまりこの偽映像を暴く為の、キーにしたからである。
歪んで映像の向こう側に、水の中に沈んだ墓がある。
白くぼんやりと浮いているそれらに向かって、Aは花を投げ込んだ。
それらはたちまち、水に溶けて消えてなくなった。
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アサノ(プロフ) - みゆきさん» ありがとうございます！拙い作品ですが、最後までよろしくおねがいします(￣^￣)ゞ (2017年9月2日 7時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - お話とても面白いです！続きも楽しみにしてます!頑張ってください！ (2017年9月2日 0時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年8月31日 19時
