12 賢者 彼と彼女 ページ14
十一月、クィディッチの試合が間近に近づく頃、グリフィンドールとスリザリン生は異常なまでに殺気立っていた。
そんな波乱に満ちた中、クィディッチが間近に迫った前日、Aは自分の梟であるカイトが飛んでくるのを、夜明けに気がついた。
「(夜更けに飛ばすなんて…何かあったのかしら。)」
ささっと制服に着替えを終えたAは、まだ寝ている寮生達を起こさないように談話室に入り、そこから手紙を受け取った。
広げた羊皮紙には両親からの手紙だった。
〈Aへ
学校生活でお前が何不自由無く暮らしている事を願っているよ。
こちらに問題は無く、母さんも元気にやっている。
今日お前に手紙を届けたのはこちらの問題ではなく、ホブワーツ内で不審な動きがあると仲間から連絡があったので、お前に届けた次第だ。
詳しい事は分かっていないが、Aも周辺で何かあり次第、連絡をくれ。
待っている。
父より。〉
仕事に支障がないことが分かってホッと息をついたAは、早速返事を出した。
用件の内容は勿論、昨日のトロールの問題。
どういう状況で何があったのか詳細に書き記し、誰もいない事を確認したAは談話室の窓からカイトを離した。
飛び去って行く梟を見つめていると、不意に人の気配がして背後を振り返れば、そこにはプラチナブロンドを揺らした彼が居た。
「マロニエか、何をしている。」
「あらMr.マルフォイ。
なんて来ないわ、両親から手紙が来ていたから返していたの。
今朝は早く起きてしまったから。
そういう貴方こそ早いのね。」
にこりと作ったように笑う彼女に何処か違和感を覚えたドラコだが、敢えてそれは追求せず素直にこたえた。
「ああ、まあ今朝は寝覚めが悪くてな。」
「あらどういう夢を見たのかしら。」
「…」
あまりにも自然に聞いてくるその台詞にドラコは僅かに不機嫌になったが、黙っている理由も無いので常ある態度でこたえた。
「＿＿＿幼い頃の記憶の一部だと思う。
僕が誰かを庇って、目の前には大きな何かが居るんだ。
そして叫び声を上げそうになった時、誰かの声が聞こえて、それで目が覚めた。」
「へえそれはそれは愉快な夢ね。」
「どこが愉快だ。」
不愉快だ、そう言いたげに立ち去ったドラコを後ろから見つめていたAは、寂しそうに微笑んだ。
その口元はゆっくりと動き、ごめんなさいと動いたがドラコがそれに気がつく事はない。
灰色の目に一瞬影がさした瞬間だった。
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アサノ(プロフ) - みゆきさん» ありがとうございます！拙い作品ですが、最後までよろしくおねがいします(￣^￣)ゞ (2017年9月2日 7時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - お話とても面白いです！続きも楽しみにしてます!頑張ってください！ (2017年9月2日 0時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年8月31日 19時
