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そういうのって千空ちゃんの役目じゃねと思いつつ言葉には出さなかったゲン。
この参道をひょいひょいと駆け抜けていく小柄な背中を、おお〜〜とぼうっと眺めていた。

「はあ、超がつくほど鈍ちんな二人かあ、メンタリストの腕がなるねえ。」
にやあっと笑った男はかつてないくらいに悪い顔をしていた。




ーーー


それから準備に明け暮れていたAは、なぜかコハクやその姉にいきなり呼びだされた。

「なんです?どうしたんですか?」
「さあそれが我々も聞いておらぬのじゃ。」
「何やら来てほしいと千空さんが仰ってまして。」
「はあ、こんなゾロゾロ引き連れて、」


後ろを振り返れば、焼け出されたものの復興に向かう村があり、その向こう側には水平線の向こう側から覗く夕日が一つ。
この時代、日が暮れたら基本的に部屋の中に籠るのが鉄則だ。
雪道で足を取られたらひとたまりもない、とAが考え混んでいると、後ろ見ながら歩くなやと突っ込まれた。


「千空どうしたの?
急に全員集めて。」
「いやなんだ、これを見せたくてな。」
「??」

手にはリモコン、目の前には巨大な樹木が一つ。
雪をかぶっているせいで桜か、針葉樹じゃ、広葉樹かもなんの木かも分からない。
枝葉の先に何かが着いているの気がついた瞬間、それはパッと美しく明るく止まった。

「これは。。。。」
「あーまーーそのなんだ。気晴らしになと思ってな。」

ぽりぽりと頬をかいた千空に、Aの中でついこの間までしていた冬至の計算が頭を巡る。

「ひょっとしてこれは、クリスマスだから?」
「ああ〜そういやそんな日だったな。」
「あはっ、はあ、最近何してるのかと思ってたら……」

Aの視界がじんわりと滲む。
クリスマスは、唯一親と過ごせた時間だからだ、暖かく暖房の効いた部屋で、いつもは20時を回ってからしか帰ってこれない両親が、その日だけは汗だくになって16時には帰ってくる。

声も思い出せないがAには苦いような優しい思い出。
ちょっと浮かれていたあの頃は、両親をびっくりさせたくて、勝手にツリーの飾り付けをして、少し頑張って小さなケーキも作っていた。
ある日、ケーキを作っていたら両親もケーキを買ってきたらしくて、入り口で三人で笑ったこともあった。
大人が忙しいのはわかる、けど、Aが欲しいといったものは与えてくれたし、この日だけはと決めたら約束は守ってくれた。

あの百夜の親族なのだ、守らない約束などないが。

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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、そう言っていただけるのがとても嬉しいです。 世界観に入り込めるというのは、多分夢小説を描く人誰もが描く人誰もが欲しい言葉だと思います。これからもみていただけるように、精進しますね。いつもありがとうございます。 (2021年4月28日 8時) (レス) id: d70a88eee0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。以前から感じていた事があります。それは、世界観に本当に入ったような気持ちで、夢小説を読めれる魅力があるイライザさんの小説には、あると思います。夢主が、研究者的なキャラで好みでした。 (2021年4月28日 6時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イライザ | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月27日 23時

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