※ Fate and love 5 ※ (ページ9)

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196 ゴブレットページ9

「なんかひさびさに探検したくなってここに。
いつもはすげえ怖いおじさんが怒鳴りに来るんだけど、なんもないから、だからいいかなあって。
なあ。」

とリーダー格の男の子が他の二人に同意を求めるように付け足す。
二人とも慌ててこくこくと頷き、相変わらず真顔のまま見下ろしているAを凝視していた。

「そう、それにしてもこんな所に来るなんて、随分と勇気があるのね。
怖くはないの？」

少年たちの好奇心に少しだけ揺さぶりをかける。

「あったりまえだろ、ここには何年も前から来てるんだぞ、怖くなんかない。」
「そうだ、そうだ。
姉ちゃんこそ、なんでこんな所にいるんだよ。」
「鍵なんか持っちゃってさ！」

ビシッと指差した先には、Aが先ほど仏様から頂いた、もとい奪取した鍵の束。

「これに見覚えが？」
「あるに決まってるだろ？
さっき言った怖い爺さんが来るときにいつも持ってるやつだよ。
そういう姉ちゃんこそ何者なんだよ。」
「ふふ、そうね、言ってあげてもいいけど、もう少しその人のことを教えてくれたらいいわよ。」

ボーバトン校で散々鍛えた表用の顔でニッコリと微笑むA。
もともと顔の出来はいい方なので、少年達は釣られたようにペラペラと喋った。

怒るお爺さんとはこの村で昔人を殺した人で、みんな怖がって近づかない危険な人。
どうやらこの洋館の管理人らしく、定期的に来ては雑草を取っていること、
洋館の家の人についてはなにも知らないが、昔はお金持ちの家だったらしく顔立ちのいい家系だったのかそこそこ評判はあったこと。

などなど、聞けば聞くほど魔法界との因縁とは関係がないように思えるA。

「(私の思い過ごしかしら…)」

と、考えにふけっているAを呆然と見つめていた少年達は、くいっくいっとAのドレスを引っ張った。

「ねえ、今度はお姉ちゃんについて教えてよ。」
「そうだよ、俺たちいっぱい教えてあげたんだから。」
「ねーいいでしょう？」

子供特有の好奇心に、ふふと笑みを浮かべたA。

「そうね、でももうお母さんが来ているようだから、お家に帰りなさいな。
ほら。」

と指さされた先をつられて見つめる3人の少年。

「なーんだ誰もいないじゃん。」

と呆れた調子でAの方を振り返ると、そこにいたはずの女性は消えていた。

「「「………ぎゃあああああ！！！！」」」

哀れな少年達の声だけが盛大に鳴り響いたのはいうまでもない。