※ Fate and love 5 ※ (ページ6)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:16,138 hit

193 ゴブレットページ6

「彼女の行き先は知らないんだな。」
「あ、当たり前だろ。」
「そうか、ならお前に用はない。」

ザッとローブをすらして立ち去ったドラコの横顔は、まだ殺気立っていた。
コツコツと足音を立ち去っていく足音に、ほっと安堵した様にハリーはその場にズルズルと座り込んだ。

「(なんだったんだ…)」

試合前だと言うのに、ハリーの気分は一気に天から地へと落ちた。

妙にハリーに対して協力的だったドラコのせいでもあるが、そんなものはどうでもいい。

それに、ドラコはAのことを嘘つき女と罵っていたが、ハリーはドラコに一つだけ打ち明けなかったことがある。

「(でも…Aは、シリウスのことを知っていた
それどころか、シリウスが僕の名付け親だってことすら知ってたんだよな…)」

彼女とシリウスがどう言う関係にあるのか、Aは話さなかった。
当事者であるハリーに面と向かって聞いて来たのだ、ドラコが言う何もかもが嘘だらけではない。

不思議な話だが、そのことに関しては嘘ではないのだ。

「(シリウスに聞かなかった僕も悪いよな…
でも、Aに接触して来た同姓同名の女の人が、何もかもバラすって言うのもアリなんだよな…

あれ？でもそうなると、どうしてそんなこと僕に聞いたんだ？
そんなの彼女たちの間には関係ないよね…
それに…)」

『…そう言えば、Aの両親がなんかすごく理不尽な理由で僕を狙ってるって言ってたな…』

「(僕…なんであんなこと思い出したんだっけ？)」

自分のことなのにわからないというのはものすごくモヤモヤする。

ハリーの中に、これまで過ごして来た“A”が浮かんでは消える。

ドラゴンを見つけた時からハリーを支えてくれた人、
第二競技の時、ずっと解決策を探してくれた人、
そして…そして…

「(あれ…僕、イースターの後、彼女に会ったけ？)」

記憶を手繰り寄せてみるが…そんな記憶は一向にない。
それどころか、クラウチの騒ぎの時、真っ先に駆けつけてきそうな彼女が何故か現れなかったのだ。
あの時は、ハーマイオニーとシリウスに口を酸っぱくして気をつけろと言われていたから、他に頭が回らなかったというのもあるが…

「(ハーマイオニーはリータ・スキターのことで忙しかったからしょうがないとしても、ロンも一緒になって忘れてたし…)」

そう考えると、ドラコの言う通り、Aが消えたとしたらAがクラリス・マロニエについて何か掴んだのか、
もしくは…