※ Fate and love 5 ※ (ページ15)

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202 ゴブレットページ15

「さあ、最後の品よ。」

コンコンっとノックでもするように垂れた血、待ちわびたように大鍋の水面がそれを受け入れようとする刹那。

「ストゥピファーイ！！」

傍にいたワームテールの鼻先に失神呪文を唱え、Aは目にも止まらない速さで逃げ出した。

一瞬の判断が全てを左右した。

おのれ、クラリス、背後からの恨みの声を無視して、Aはセドリックの元に駆けつけた。
縄をほどき疲れ切った体でセドリックの元にたどり着いていたハリーは、カップをその手に握っている。

逆呪文を唱え、目覚めさせたセドリックにカップを握らせたA。
反対の取っ手をハリーがまだ握っていることを確認したAは、朦朧とした意識のセドリックの頬をはたいた。

「しっかりして、これを持ってホグワーツに行きなさい。」
「は？行きなさいって、君は、」
「つべこべ言わない、また会えるわ。」

Aがカップから手を離し、セドリックとハリーだけが握った時、空間が歪むのがAには見えた。
地面を這う大蛇がハリーを襲った。

「しつこい！」

杖を振るおうとしたその時、ガシッと醜い腕がAの手首を止めた。
へし折る勢いの握り方に、Aは激痛を感じた。
蛇の毒もあい余ってAの意識はもうすんでのところ。
熱に侵された目で見上げれば、忿怒の顔のヴォルデモートがそこにいた。

「小娘、この代償は大きいぞ。」

焼けるような痛みがほとばしり、Aは絶叫した。

ポートキーによって強制退場したハリーには、Aの絶叫だけが最後のケシキとなった。

ーーー

ヴォルデモートの復活、

ホグワーツに戻ったハリーはそのことを即座に伝えた。
だが、墓場のことをどれだけ話しても、ボーバトンの校長は何故か聞き入れようともしなかった。

「あの子は既に親元に保護されました、貴方には関係ありませーん。」

と逃げてばかりの納得のいかない態度。
なんとかセドリックに弁護してもらおうとしたが、

「ハリー、本当に、Aさんは居たのかい？
それに確かに薄気味悪い男は僕も覚えているけど、それはその女性が言ったことなんだろ？
僕は君が嘘をついてるとは思わない、でも夢と現実を履き違えちゃダメだよ。」

と小さい子を諭すようにいう。
まるで魔法にでもかかったような虚ろげな表情に不審を抱いたのはダンブルドア、

そして、

「おいハリーその言葉をもっとよく確かめさせてくれ。」

と招いた義眼の男だけだった。