147 ゴブレット ページ7
「(なにこれ…そんな人が私の友達？しかもそんな人を私は忘れてるの…？)」
忘れていることすらいまいち自信が持てないのは、それだけ魔法の効力が強いせいだろうか。
落胆したように肩を落としたハーマイオニーの肩越しに、心配していた両親は顔をのぞかせた。
「なんだハーマイオニー、彼女の写真ちゃんと持っているじゃないか！！」
驚いたように声を上げるハーマイオニーは何を言われたのか一瞬飲み込めなかった。
いったい誰がどの写真に写っているのだろうか。
「あの、パパ、A、さんがここにいるの？」
「ああいるじゃないか。
綺麗なアッシュブロンドの子が。ほら、こっちを見て笑っているじゃないか。」
とんと指先が当たった先は、ハーマイオニーにとっては何もないただの空間にしか見えない。
固まり、困惑し、険しい顔の娘と写真を見比べていた父親は、後ろで心配そうにしている母親に向かってそっと首を横に振った。
「ハーマイオニー、貴女きっと疲れているのよ。
写真はこの辺にして、もう寝なさい。」
そうは言われても手に握ってしまった写真を手放すことはできなかった。
「わかったわ、ママ。
でもこれは持ってる、きっと思い出せるはずだから…」
ハーマイオニーはその日、何もないところをじっと見つめながら、眠りたくはなかったが無理矢理に眠った。
そして、今日もやっぱりベッドの上で写真を握りしめていたハーマイオニーはそっと、胸元にそれを引き寄せる。
「…どうして何も言わないの？」
A、
その言葉を最後にハーマイオニーの記憶は深い眠りについた。
夕方間際、突如空を切って表れたのは八頭の翼をもつ、白馬たち。
そして湖のほとりから浮かび上がってきたのは、鋭い尖塔をもつ巨大な船。
夕食の宴に合わせて表れた彼らは、まさに華やかの一言に尽きた。
フラー・デラクール、ビクトール・クラムなど生徒たちの憧れでもある彼らの登場は、ことさらそう見えた。
しかしそんな彼らの中で、一人、また他とは違った不自然さが際立った人物がいた。
グレーがかったドレスを揺らし、エレガントな帽子を深めにかぶり、その淵から鮮やかなアッシュブロンドを揺らす彼女。
レイブンクローの正面に腰かける際に、垣間見えたのはどこまでも相手を見透かすような淡いブルーの瞳。
「初めまして。
私、A・マロニエというの。」
不思議なくらいに人を魅了する笑顔で、彼女はにっこりと笑った。
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作者名：アサノ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年6月2日 16時
