182 ゴブレット ページ42
それは先ほどハリーが助けたフラーの妹だった。
濡れた銀髪を耳にかけ、まだ寒いのかカタカタと震える体を抱きしめながら、強い瞳で切り返した。
「私、もしもその人が助けてくれなかったら、今頃その人たちに水底に引きずり込まれていた。
それに、私は気を失っていたからシャボンの玉なんて知らない。
そこのあなたもそうでしょ？」
きっと睨まれたロンはしどろもどろになるが、彼女の覇気に押されたのかうんうんと必死に頷いた。
「だから、あの場にその人を助ける人がいたとしても私たちには関係ないし、助けようとしたのが本当にその人なのかなんて証明できないでしょ。
私たちはあの時その人に引っ張ってもらわなかったら今頃、し、死んでいたかもしれないのよ、それで、それで十分でしょ！！」
論理的ではないし、ハリーが協力者を手引きしていないことの証明にはなっていない。
けれど彼女の必死の訴えに、ダンブルドアの目元は緩んだ。
「と、彼女は申しておるぞ、友よ。
確かに競技としては協力者を手引きしたのであっては公平性に欠けるが、逆にその少女の言う通り、実際に協力者だったのかどうか君らには証明できないのであろう。
何者かが意図的にハリーを助けていたとしたら、罰するのはその者であってハリーではない。
今日のところはこの少女のために引き下がってはくれぬか。」
友と呼ばれたマーピープルは渋い顔をしながらも、その後にボソボソと何かを続けた。
するとダンブルドアの瞳はだんだんと光を取り戻した。
「そうか、ハリーは一番に到着したが、最後まで残っていたのだな。
なんじゃ驚かせおって、君こそハリーの本質をしっかりと見ていたのではないか。
それこそが彼そのものじゃよ。」
この言葉ははっきりとは響かなかったが、相手であったマーピープルにはしっかりと伝わった。
だが、やはり憂顔は晴れず険しい顔のまま、水中に帰っていった。
話し込んでいた腰を上げたダンブルドアは、晴れやかな顔で口上を述べ、最後の評価を下した。
ーーー
人気のない湖畔の傍でごぽっと水面が跳ね上がり、勢いよく何かが現れた。
水浸しのそれは湖畔の淵を死に物狂いで掴み、震える腕に鞭打ってその体を水中から引き揚げた。
「ったく、あの義眼男、やってくれるじゃないの…」
はあ、はあ、と荒い息を零したAは、ぐっと額を書き上げ、その場に寝っ転がった。
「さて、これからどうしてくれよう…」
とだけ呟いて…
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作者名：アサノ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年6月2日 16時
